免許返納

2019年10月29日

昨日、私の仕事が休みであることで、父と約束をしていました。筑豊の、運転免許試験場まで乗せて行くことです。
 
運転免許を返納するのが目的でした。
 
米寿を迎え、思い切って返納を決意するまでには、いろいろ葛藤もあっただろうと思います。家庭の事情で、運転免許が取得できる年齢になって恐らくすぐのころから、長きにわたって運転を続けてきました。工務店での勤務のため、様々な車を運転したことだろうと思います。
 
とくに定年を迎えてからでしょうが、いまは故人となった母を、それはそれはあちらこちらへと、特に花の美しい場所へ連れて行くことに熱心でした。もちろん私も子どもの頃には幾度も乗せてもらいました。体が弱かった私は、毎度毎度、山道で車に酔い、決まって途中の休憩所で吐いてしまうという有様で、迷惑をかけました。あの虫酸の感覚は忘れません。
 
ひとつの会社を勤めあげたその時代は、高度成長期であり、仕事は大変だったはずですが、それはそれで良い時代でした。当初は家族を養うのにも労したはずですが、私と違って資産の運用も確かでしたので、それほど贅沢をしなければ十分な仕度ができており、落ち着いた生活ができたことを喜ばしく思います。
 
私が福岡に戻ってからは特に、私の子たちをあちこちに連れて行ってくれました。私の代わりにも足となり、父親のように可愛がってくれました。どれだけ助けになったか知れません。
 
特に事故を起こすこともなく過ごせたのは何よりでしたが、昨今の高齢者の事故の報道を見るに、どこかでけじめをつけたほうがよいものと考えていたところへ、誕生日の免許更新の知らせを受け、大いなる決断をしたというわけです。
 
父の住まいからは距離的には、福岡市の運転免許試験場の方が近いのですが、ご存じの方はお分かりの通り、そこへ行く道の混雑と、試験場に集まる人の多さを考えると、私が利用する飯塚(旧・田川)の方がスムーズに着き、また人も少ないところから勧めました。無料のバイパスを走れば時間的にも早いと思われます。そして新しくなった飯塚の施設は綺麗で、へたをすると職員の数のほうが多いのではないかと思われるような有様で、親切に接してもらえました。事務の時間も非常に短時間で済みました。感慨深い一日だったことでしょう。その時を共に過ごせたことをうれしく、また誇らしく思います。
 
これからは多少不自由もあるでしょうが、まだ姉が出歩くことで生活面では困ることは基本的になく、もうひとりの姉の家族も顔を見せ、どこかへ連れて行く機会があるため、大きく問題があるようには見えません。病院通いも直通のバスがあり、回数も限られています。その他、必要があれば私もある程度は動けます。事故を起こす前に、という勇気ある決断は、間違っていなかったと思います。
 
長い間、運転おつかれさまでした。ありがとうございました。



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