バスケットボール

2019年6月23日

八村塁選手が、アメリカのプロバスケットボールリーグにドラフト高順位で選ばれて入団したというニュースは、先日の明るいニュースの一つでした。世界スポーツ連盟に登録されている、スポーツ別競技人口では、ダントツで多いのがバスケットボール。もちろん推定に過ぎませんが、45000万人とされ、２位のサッカーの25000万人の２倍に迫る勢いです。何故でしょう。それは、女子バスケットポールが盛んだからです。サッカーの女子は、それに比較すると少ないと言えます。
　
スポーツの起源というのは、自然発生的なものだとスタートを設定することが難しく、サッカーにしても諸説あると言います。しかし、バスケットボールの起源ははっきりしています。バスケットボールは、アメリカで1891年に考案された競技です。「青少年が、雪の季節や狭い場所でも仲間と楽しく体を動かせるプログラムを作りたい」という願いから、アメリカのＹＭＣＡスタッフがつくりました。また、その４年後には、同様にバレーボールが考案されています。日本には、東京ＹＭＣＡが1909年に紹介し、普及に努めました。(本日放送の「いだてん」に、一瞬ですが、このバレーボールを日本に紹介したエピソードが語られたのには驚きました。)
　
ＹＭＣＡと聞くと、西城秀樹を思い出す人も多いことでしょう。が、あの有名な歌の原曲は、1978年にヴィレッジ・ピープル（Village People）によりディスコソングとして1000万枚を売り上げる大ヒットとなった曲で、そのリリースから２カ月半後に、西城秀樹が日本語でカバーしてこれも140万枚のヒットとなりました。但しあの歌は、ＹＭＣＡのユースホステルのような宿泊施設のことで、それはゲイのたまり場であったことから、まぁそういうことを含みもった歌だということだったのですが……。
　
ＹＭＣＡとは何の略だかご存じですか。Young Men's Christian Association で、日本語では「キリスト教青年会」と言います。内部では自分たちの組織のことを「ワイ」と呼びます。
　
ＹＭＣＡは、イギリスのロンドンで、ジョージ・ウィリアムズら12名の青年たちが集まり、青年たちの救いと健全な生活のために祈り始めたことをきっかけに、1844年に創立した組織です。不健全な生活が犯罪へと向かうことをなんとか止めたいという願いからでした。このウィリアムズの誕生日をＹＭＣＡ記念日としています。
　
この運動には、赤十字を創設する以前のアンリ・デュナンも関わっており、その許で1855年には世界ＹＭＣＡ同盟が結成されています。東京ＹＭＣＡは1880年に誕生しました。まだ維新の最中ともいえ、新しい日本のために青少年の育成を考えてのことでした。上野公園での大演説会では7000人の聴衆を集めたと言われています。
　
ちなみに「青年」という言葉は、ＹＭＣＡを日本語にするために、創立者の一人である小崎弘道が、「青雲のごとく志を高くもつ」という思いから「Young Men」を訳した造語です。いまでは中国でも「青年」という語が使われるようになりました。
　
さて、バスケットボールの考案者は、ＹＭＣＡのトレーニングスクールの体育教師ジェームズ・ネイスミスです。冬季に楽しめるスポーツの必要から考案したそうです。最初に果物の籠をゴールに使ったことから、翌年、バスケットボールという名前に決まりました。いちいち梯子で籠からゴールしたボールを取り出すのが面倒で改良されていきましたが、バックボードができたのは、二階席の観客がゴールを妨害したことからだ、と2018年11月16日に「チコちゃんに叱られる！」で紹介されていました。
　
つまりは、バスケットボールは福音的なスポーツであったということ。クリスチャンたちの純粋な動機から祈りが始まり、そこから生まれたのだということをご紹介したかったのです。
　
2017年に、ＹＭＣＡのロゴマークは現在の抽象的なデザインに変わりましたが、実は正章は変わっていません。これは非常に福音的なものです。「日本ＹＭＣＡ同盟」の説明を引用しましょう。
　
「赤い逆三角形（トライアングル）に記された｢SPIRIT｣(精神)、｢MIND｣(知性)、｢BODY｣(身体)は、三つが調和した全人的な人間の育成を目指すことを表しています。
中心に大きくある「X（カイ）」と「P（ロウ）」は、初期キリスト教のころから使用されているモノグラムで、ギリシア語で「救い主キリスト」を表す単語の最初の2文字です。中央は、開かれた聖書で、新約聖書ヨハネによる福音書17章21節「すべての人をひとつにしてください」が示され、国家、民族、人種、宗教の隔たりを超えたYMCAのモットーです。世界各地でYMCAが設立された19世紀に後半から用いられています。」