阪神淡路大震災24年

2019年1月16日

阪神淡路大震災。あのときこの世にまだいなかったという人が多くなりました。記憶のない人も含めると、さらに増えます。2019年1月17日で、あれから24年。四半世紀が過ぎようとしているわけです。
 
京都で、あの揺れを味わいました。「あの」と言っても、もちろん神戸付近で経験した人のものとは違います。それでも、初期微動で朝方目覚めた私が危機を覚え、起き上がって間もなく、下からドーンと突き上げられて、隣に寝ていた子たちを守ろうと動いた時のことを、忘れることはありません。剥き出しの書棚から本やビデオテープが降ってきたのは仕方がないにしろ、頭上に置かれていた昔の重いテレビが落ちていたら命が危なかったと後で震えたものでした。
 
そのテレビをつけると、どうやら神戸が危ないと分かりました。神戸から情報が届かないというのです。あの好きだった街がやられたのだと直感しました。その直感は、事実だと次第に分かっていきました。NHK職員が個人的に神戸からレポートしている電話が放送されていました。
 
17日は、一日中各放送局はこの地震の影響を実況し続けました。CMは消え、公共広告機構の同じメッセージが、民放番組の合間をすべて埋めました。神戸の街は炎に包まれ、それを見てただ涙するばかりでした。
 
交通機関は京都でも動かなくなりました。やがて京都から、教会関係者とYMCAの職員が現地へ向かうことになりましたが、私は京都での仕事場を運営する必要から残り、背後からの支援という形になりました。
 
神戸を再び訪れる勇気が与えられたのは、それから一年後のことでした。福岡に戻ることが決まり、戻る前に一度行かなければ、と思わされたのです。ひび割れた三宮のそごうは懸命に人を呼び集めようとす営業をしていました。わずかでもそこに協力できたら、と少し高価なオモチャを買いました。また、神戸新聞が、提携したばかりの京都新聞社の機械を用いて発行し続けた神戸新聞の震災記事集を求めました。地震発生時からのレポート記録を何度も読み返しました。その新聞の広告で、関東の週刊誌がなんと冷たい記事をすぐに書いていたことかと憤りました。直後に、関東で地震が起きたらどうか、という記事をウリにしていたのです。まだ瓦礫の中で救いを待っている人がいるような時に、です。
 
さまざまな事実は、後からだんだん伝えられるようになりました。ドラマもつくられ、体験談も語られました。それが、次第に時を重ねて、いまはどうでしょうか。ああ、そう言えば地震があったんだな、という程度になっているとしたら、悲しいものです。
 
聖書では、エリヤの時に地震の中に主を探すシーンがありますが、終末に地震という現象があることが幾度かあるほか、マタイが好んで、十字架のときと復活のときに地震が起こっていたような書き方をしています。しかし、特定の地震を知らせるのは、なんといってもアモス書の冒頭です。
 
テコアの牧者の一人であったアモスの言葉。それは、ユダの王ウジヤとイスラエルの王ヨアシュの子ヤロブアムの時代、あの地震の二年前に、イスラエルについて示されたものである。(アモス1:1)
 
世界的に、地震の多発する地域と、殆ど起こらない地域とが分かれています。造山帯など、地殻下の活動が盛んであればそれだけ危険が増しているわけですが、日本はその多発地にあり、備えても対処できるかどうか分かりませんが、何らかの危機管理は必要であるとされています。阪神淡路大震災の経験から、私たちは福岡の新居ではとりあえず家具固定や食器棚の開き方を考えて購入したりしましたが、すぐに地震保険に入りました。当時はそんなものに入るなど福岡ではあまり考えられていなかったようです。しかしそれが、2005年の福岡西方沖地震で役立ちました。マンションのわずかなタイルの剥がれのために、その場所とは何の関係もない私の部屋にも保険が適用されたのです。その時子どもの進学に際して、とても助かりました。
 
改めて、非常時の想定は必要だと考えさせられます。非常食やグッズのことが持ち上がりますが、基本的に救援物資は来るでしょう。個人的にどこまでそれが必要なのかは未知数です。もちろんライトや電源などの心づもりは必要でしょうが、過度にリュックにいっぱいのグッズというものがどこまで求められるのか、私にはよく分かりません。それよりもっと優先して、備えることは何であるのか、あの阪神淡路大震災で犠牲になった人々、それにより人生を狂わされた人々のことを思いつつ、そこから学ばせて戴きたいと今も思っています。また、もちろん長く住んだ関西です。レインボーハウスなどの声を聞けばわずかでも助けをと行動しますし、祈りは絶やすことがありません。どうか、何かしら心に示された人は、まず祈りから再開してください、と申し上げたいところです。



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