婚礼

2018年11月25日

教会では、今月結婚式が相次ぎました。私の親族関係でも、11月の挙式がいくつかあり、まるで秋の実りを目の当たりにするかのようですが、どうしてなのでしょうか。
 
新約聖書には婚礼にまつわる話がいくつかあります。譬えとしてイエスなどが語った幾つかの事例を除くと、現実の結婚式としては、やはりカナの婚礼が唯一となるでしょうか。今回このカナの婚礼の様子には触れずに話を進めますが、イエスの奇蹟の初期に属するものとしてヨハネが記し、ここには母マリアが同席しているのが案外ユニークです。甕(かめ)に酒というのは、私たちの感覚では樽のようなところでしょうか。プロ野球の優勝チームが「せーの」で蓋を破るあの樽をイメージしてもよいでしょう。もちろん、ここでは「石」とありますけれども。
 
日本でもかつては、もちろん時代や地域、身分などにより様々異なっていたことでしょうが、婚礼すなわち披露宴を数日にかけて行うということもあったようです。それがこのユダヤではまた激しく、一週間は普通でした。創世記のヤコブの記事に載せられていますから、古い伝統であろうと思われます。
 
【創世記】
29:26 ラバンは答えた。「我々の所では、妹を姉より先に嫁がせることはしないのだ。
29:27 とにかく、この一週間の婚礼の祝いを済ませなさい。そうすれば、妹の方もお前に嫁がせよう。だがもう七年間、うちで働いてもらわねばならない。」
29:28 ヤコブが、言われたとおり一週間の婚礼の祝いを済ませると、ラバンは下の娘のラケルもヤコブに妻として与えた。
 
聖書の中で具体的な婚礼の描写はそれほど多くないのですが、たとえば次のような預言の中にも、当時の文化が窺えるという場合があります。
 
【イザヤ】
61:10 わたしは主によって喜び楽しみ
わたしの魂はわたしの神にあって喜び躍る。
主は救いの衣をわたしに着せ
恵みの晴れ着をまとわせてくださる。
花婿のように輝きの冠をかぶらせ
花嫁のように宝石で飾ってくださる。
 
イエスの譬えの中でも、婚礼の準備の様子を教えてくれるものがあります。
 
【マタイ】
22:2 「天の国は、ある王が王子のために婚宴を催したのに似ている。
22:3 王は家来たちを送り、婚宴に招いておいた人々を呼ばせたが、来ようとしなかった。
22:4 そこでまた、次のように言って、別の家来たちを使いに出した。『招いておいた人々にこう言いなさい。「食事の用意が整いました。牛や肥えた家畜を屠って、すっかり用意ができています。さあ、婚宴においでください。」』
 
中には二週間にもわたる婚礼もあったそうですが、婚礼の招待を断ることがたいへん失礼なことであったであろうことが推測されます。しかし、婚礼の一週間というのが安息日を含むのか含まないのか、そもそもどんなふうなプログラムなのか、そうした文化的なことについては、よほど別に調べないと分からないものと思われますし、あまり詳しい研究もなされえないような気がします。
 
プロ野球選手はシーズン中の結婚式は稀で、多くはシーズン・オフの秋あたりが多いようなのですが、ユダヤでも、麦を刈った春または初夏、ぶどうを収穫した秋の時季、このあたりに多かったのではないでしょうか。だとすれば、最初の問い、11月に結婚式(婚礼とは披露宴・祝宴のことで式というのは通例宗教的な内容を伴うと理解される)が多いのは、そんな昔の農作業の歴史を踏まえたものであるのかもしれません。分かりませんけれど。
 
因みに私は6月。誕生日の日曜日に礼拝の午後、そのまま小さな教会で、というチャンスが選ばれました。しかも父の日でもあったので、イベントが一度に済むようにセットされてしまいました。



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