『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』

2018年6月14日

私の中では有名な絵本でしたが、教会学校担当の方がご存じなかったので、教えて差し上げました。思えば私もこの絵本を知ったのは、教会学校の教案誌でした。ということは、その教案誌の原稿を書いた方独自の視点で紹介していた、ということなのでしょう。なぜならは、この絵本には、神も教会も、聖書も信仰も、何も登場しないからです。どこでどうすれば教会学校で用いるべく推薦できるのか、それは実際にこの絵本に触れた人の心に感じたということのほか、何の理由もないわけです。
 
子どもの愛らしいリアルな表情では定評のある林明子さんの絵(『こんとあき』や『はじめてのキャンプ』『クリスマスの三つのおくりもの 』を見たとき即購入でした。ひたすら「ぼく」の視点で物語は進みます。
 
おばあちゃんから「ぼく」に電話がありました。いまからおいで、と。どうやって行ったら分からないと言う「ぼく」に、おばあちゃんはどうやら、「いなかみちをまっすぐまっすぐ」歩けばよいと教えたようです。途中で男の子は花を摘んだり、小川を渡ったり、小さな冒険を繰り返します。お家らしいものを覗いたら、思わぬ動物に出会ってびっくりもします。でも、言われたとおりに、まっすぐ・まっすぐ歩いて行き、とうとうおばあちゃんに会うことができました。
 
第二次大戦後まもなく若くして亡くなった児童文学者のマーガレット・ワイズ・ブラウンの原作をもとに、日本人の文と絵で作られた絵本です。確かに、実際に子どもに読み聞かせた親たちの反応は良いようです。つまり、絵本としてすぐれたものであることは確かです。
 
実は先にも登場した私の息子が、小さいころにたくさん読んでもらった絵本のうち、とても心に残っているものがある、と言って、この本を挙げたのです。もちろん、どうしてだかは分かりません。絵本というのは、そういうものです。大人の期待や予想を大きく覆す、子どもなりの好みというものがあるものです。これは、絵本についての第一人者・松居直さんもよく言っています。しかし、この本が息子の心に残っていたというのは、私の中では、なんだかひとつ筋道があるような気がしてなりませんでした。それは、教会学校の教案誌にこの絵本を見出して採用した方の、祈りに基づくものであったのかも、しれません。
 
♪おおしくあれ、つよくあれ、少年たちよ―― を、一部の方は、思い起こされたかもしれませんね。ぜひそこに「少女」も入れて歌って戴きたいのですが。



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