ペンテコステ(五旬祭・五旬節)

2018年5月20日

新共同訳とフランシスコ会訳が「五旬祭」、他は概ね「五旬節」としていますが、いずれもイスラエルに規定された3つの大きな祭の一つ、収穫祭を表しています。
 
どうかすると、「旬」の意味も伝わらない世代の方がいらっしゃるでかもしれません。ひと月は、月の形の周期(およそ29.5日)からおよそ30日と見なされると、それをかつて日本では10日(または5日)単位で区切っていたため、最初の10日を「上旬」、次の10日を「中旬」、残りを「下旬」と呼びました。太古の中国でもこの区切りだったようです。
 
ですから「五旬」というのは、50日間を表します。
 
イエス・キリストの復活は、十字架から「三日目」といいますが、これは初日を1日目とカウントしているためで、三日後のことではありません。この数字の設定は実はややこしく、現代生活でも、三つ目の駅で降りる、というとき、2つの解釈が成り立って曖昧になります。この「50日」というのも、初日を1日目とカウントしますから、初日と50日目とは、同じ曜日になります。過越の十字架と翌日の安息日の翌日(次のレビ23:15)が私たちの言うイースターとなりますから、そこから数えて50日目を五旬節と数えるために、イースターと50日目のペンテコステも、必ず同じ日曜日となります。
 
23:5 第一の月の十四日の夕暮れが主の過越である。
23:6 同じ月の十五日は主の除酵祭である。あなたたちは七日の間、酵母を入れないパンを食べる。
……
23:15 あなたたちはこの安息日の翌日、すなわち、初穂を携え奉納物とする日から数え始め、満七週間を経る。
23:16 七週間を経た翌日まで、五十日を数えたならば、主に新穀の献げ物をささげる。
 
ただ面白いのは、この祭のヘブル語。もちろん、元々イスラエルの祭ですから、ヘブル語の方が本家本元なのですが、「七週の祭り」という意味で「シャブオット(シャーヴオーット)」といいます。小麦の初穂で焼いたパン、「パン種を入れて焼いたもの」を二個、神へのささげものとして祭司のところに差し出す儀式を行いました。ここに、キリストの弟子たちが蘇りの初穂としてのイエス・キリストを重ねたことは容易に想像できます。ヘブル語の「一週間」を表す語の複数形が、7×7の7週間を表すということで、この収穫祭がシャーヴオーットと呼ばれたのでした。ヘブル語では49日を示し、ギリシア語では50日を示すというのも、面白いところです。
 
そして有名な、使徒言行録の次の記述。
 
2:1 五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、
2:2 突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。
2:3 そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。
2:4 すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。
 
この場面をイラストにしてしまうと、ダニエル書にも劣らぬくらい不思議な光景になるかと思いますが、現実的な人も、これが象徴していることが何かあったのだろうと理解していますから、私たちも、一人ひとり自分だったらどうだろうかと考えてみるとよいのではないでしょうか。



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