寓喩

2018年3月8日

たとえば、ホークスの工藤公康監督のことをよく知っている人がいたとします。こちらは監督のことをそんなによく知っているわけではありませんが、いい人だと思えて、興味がありました。どんな人なのか教えてほしい、とその人に尋ねます。その人は得意そうにいろいろ話してくれました。へえ、そうなんですか……と話を聞いているうちに、何か違和感を覚えます。何か、リアリティがないというか、工藤監督がいつかテレビで言っていたようなことや、雑誌のインタビューで答えていたことが随所に出て来るけれど、なんだか、その人と監督との生の会話や友人でないと知りえないような関係の中から出てくる話や描写というのが、どうも出てこないんですね。確かに監督について偽りを話しているようには思えないのですが、果たしてこの人は工藤監督と直接会ったことがあるのかしら、と疑いが起こったとします。
 
「知り合い」とは言ったけれど、間接的にその人のほうから知っている、あるいは知っているつもりになっているだけなのではないか。監督のほうからはその人のことを知らない、つまり会ったことも交わったこともないのではないか。でも、何かいまさら、あなたは本当に監督と知り合いなんですか、と尋ねるのも失礼なような気がして、またそこまで追及するのも大人げないような気がして、ついにそこまで踏み込んだ言い方はできませんでした……。
 
地方色豊かな寓喩となりました。何を言おうとしているのか、それはお読みくださった方が決めてください。



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