The Night Before Christmas

2017年12月24日

'Twas the night before Christmas, and all through the house,
Not a creature was stirring, not even a mouse.
 
The Night Before Christmas が、NHKラジオ「高校生から始める「現代英語」」で今月前半で紹介されていました。美しいリズムと韻を踏む詩で、私は初めて味わいました。
 
クリスマス・イヴは、間違って「前の日」のように受け取られ、「イヴ・イヴ」のような、まるで京都の祇園祭の「宵々山」みたいに使われることがありますが、元来「夜」を表す語に由来します。イヴは英語の古語の音を伝えていると聞きます。日没から一日が始まるという数え方に従えば、日暮れからしてクリスマスの日であったわけですね。
 
サンタクロースの話は、後の伝説が加わってきたわけで、またヨーロッパには「黒サンタ」とでも言うべき、悪いことをした子にひどいものを与える冬の男の存在があったなどという歴史を聞いたことがあります。現代はとくに、おとぎ話でもマイルド化して、悪役も殺されず仲良しに大団円、というのが多くなってきていますが、サンタクロースもどんどん毒が抜けてきたのかもしれません。
 
英語テキストの解説では、Merry Christmas! が政治的・宗教的に使いにくい状況がアメリカで生まれてきていること、代わりに Happy Holidays! が増えてきていることにも触れられていました。
 
この時期、ユダヤではハヌカが祝われます。光の祭典・ハヌカは、旧約聖書続編マカバイ一4:59の記述に基づいていると言われています。神殿奪回に成功した時、あの燭台メノラーの灯火が8日間燃え続けたというのは、キリスト教徒にとっても、灯火に油を用意しておいた賢いおとめの話を思い起こさせます。
 
かのメノラーの形のように、レトリックとして、一連の文章の中で対称的にはさみこむような対応があり、中央に重要点が描かれるという方法が、ユダヤ文学にはあるといいます。福音書もこれを頭に置いて読むと、構成が理解でき、また何が重要なことであるのかを察知することができる場合があります。このことを教えられて後、聖書の味わいがずいぶんと変わりました。
 
The Night Before Christmas の詩は、次のように結ばれていました。
 
But I heard him exclaim ere he drove out of sight,
'Merry Christmas to all, and to all a good night!'
 
誰ですか、クリスマス・イブと聞くと「♪きっと君は来ない……」なんて口ずさんでいる人は。サンタクロースだって、きっと来るんですよ。そして、救い主は、ここにちゃんと来てくださったのです。この夜、新たに多くの人の心に、救い主イエスが誕生することも、ほぼ確実なのです。



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