ゾウガメに触れて

2017年8月24日


ケヅメリクガメという種類なのだそうです。福知山動物園で出会いました。そこは動物と触れあえるという柵の中で、私はすぐさま中に入り、カメ君に触ってみました。甲羅はさすがに硬い。頭も硬い(頑固なのではなく)のですが、少し弾力がありました。押すと頭蓋骨も感じられます。それに比べると手足はもう少し肉を感じ、少し空気の抜けたバレーボールを押すような感覚がありました。
 
福知山動物園は、かつてウリ坊(イノシシ)の背中に乗るみわちゃん(ニホンザル)が紹介され、日本全国に微笑みを与えてくれたことで有名になりました。2年前には瀧本美織さんがシロテナガザルの赤ちゃん(桃太郎)を育てる番組が放送されました。
 
今月初めに、アルダブラゾウガメが岡山県の渋川動物公園から逃げ出したというニュースが流れ、16日にはカメ探しに来た父子が見つけ、懸賞金50万円を手にした、とも報じられました。実は福知山動物園のゾウガメもかつて脱走した前科(?)がありましたが、四日後に近くで見つかったことから、福知山動物園の二本松園長が、岡山のカメもやがて戻ってくると談話を発表していました。
 
福知山動物園のこの亀吉さん(実はメスと後で分かった)は、かなり自由に歩き回りつつ、夕方にはちゃんと自分の小屋に戻ってくるのだとか。青草をばりばり喰みながら、slow and steady に歩くこのカメは、時折狭い杭の間を無理に通ろうとしてよいしょと向きを変えて先へ進み、ちょっと目を離すとずいぶん遠くまで位置を変えていましたから、カメは遅いという先入観があると、しくじります。
 
カメは、聖書には出てきません。しかしカメ好きな人がいて、雅歌2:12の「山鳩」は英語の聖書では turtle である、と指摘して日本語訳は誤訳だと怒っていました。しかし「カメの声が聞こえる」は不自然です。見てみるとその原語が英語の解説だと turtledove となっていました。doveの名前です。turtleは模様に由来し、「コキジバト」を意味するそうです。この鳥は「雌雄互いにむつまじい」ことで知られており、そうするとこの雅歌の訳としてはなかなかのものであるということになるでしょう。
 
ウミガメであれば、紅海にはかなりいるそうです。ヨブ記など、神の創造の業が描かれる中で、もしかするとカメも描かれて然るべきだったのかもしれません。しかし、ノアの時の洪水でカメは箱舟に入る必要はなかったと思われます。そして、海の生き物はこの水害の影響を受けなかった、と理解してよいでしょうか。つまり、カメは、一つがいのみ残った、というわけではなかったのだ、と。

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