マニュアルというもの

2026年9月21日

新しいトイレに換えて、快適な生活を送っていた。健康診断の関係で、一度電源を切る必要があった。そして再びプラグを差し込んだ。基本的に元に戻った。が、妻が後から、自動機能の一部が効かなくなった、と訴えた。夜帰宅した私が確認すると、確かにそうだ。
 
マニュアルを隈なく調べることにする。だが、その自動機能は、特にオンオフのコマンドがない。私の見方がおかしいのかもしれないが、だいぶ見ても、分からない。普通、大切なそうしたことは、何らかの形で目につくように書いてあるはずだと思っていたが、見当たらないのだ。
 
そもそも、このトイレのマニュアルは、分かりにくい。得てして、電気製品のマニュアルというのは、よく分からない。実に細かく書いてあるし、こういうときは……と親切に書いてあるはずなのだが、細かすぎて、困ったときにどうすればよいのか、あるいは要するに何が一番大切な着眼点であるのか、分かりにくいのだ。
 
造った側としては、これで十分説明できているし、問題点には残らず答えたはずだ、と考えているのだろう。しかし、使う側としては、造った側が当たり前の常識だと捉えていることそのものを、実のところ知らないのだから、その省略されている説明について、困惑してしまうことになる。
 
ものを教える仕事をしている私もそうだ。どうしてこの説明で分かってもらえないのか、生徒を、訝しく思うことが、いまにしてないわけではない。その生徒のこだわりや、見えているもの、見えていないものについて、とことんその身になって考えなければ、困っている理由が見抜けないことがあるわけだ。
 
あれこれいじってみた。すると、電源を入れ直した後で、あるコマンドを一度オフにして、それから再びオンに入れ直したみたとき、自動昨日が元に戻った。要するにあるコマンドについて、リセットしなければならなかったのだ。だが、マニュアルには、そのことについては全く触れられていない。一度電源を切った後、このコマンドを再起動させる、というような説明は、全くないのだ。偶然のように、それをするまでは機能は復活せず、入れ直して初めて元に戻ったというわけである。
 
もしかすると設計した側からすると、それは当然じゃないか、と思っているかもしれない。しかし設計者からは常識であっても、利用者にとっては恐らくそうでないことが多い。
 
隠れコマンド、などと面白がっている場合ではない。電源のオンオフは、十分あり得ることだろう。停電のときにも起こるはずだ。だが、電源を入れ直したときの注意書きがマニュアルにないとあっては、その事態を想定していない、としか思えない。
 
ものを教えるのは一律にはゆかないから、生徒個人個人に対応しなければならないのだが、ここは機械だ。必ず誰が操作しても一定の同じ事態が起こるはずである。マニュアルというものは、頼りになるようでならないということを、改めて身に染みて感じたのだった。



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