サバ缶
2026年6月21日

『さばの缶づめ、宇宙へいく 鯖街道を宇宙へつなげた高校生たち』というのが、元の小説の題なのだそうだ。否、小説ではなく、これはノンフィクションである。これが4月から、いわゆる月9の枠で、テレビドラマ化されている。
福井県の高校生たちが、地元の名産であるサバ缶を、宇宙日本食として認証してもらえるように努力するストーリーである。いわゆる「鯖街道」と呼ばれる道は、京への道で知られ、基本的に若狭の小浜から京の出町柳までを指すと言われる。海から遠い京の都は、福井からの鯖が一日で届くのを喜んだものであろう。
出町柳の近くに住んでいたことがある。その出町桝形商店街をモデルにして、京都アニメーションの名作「たまこまーけっと」が生まれたことは有名であるが、住んでいた頃はまだそれはなかった。
テレビドラマは『サバ缶、宇宙へ行く』というタイトルに短くされた。さらに短い略称として「さばうちゅ」と呼ばれるそうだが、先日何かの紹介で、番組のことを「サバ缶」とだけ言っていたのを聞いた。「サバ缶」、耳だけで聴くと、ドキリとする。
以前、新垣勉さんのリサイタルに行った。福岡を拠点に活動していたこともあり、西南学院大学神学部を卒業して牧師の資格も有している。ドキュメンタリー番組からその生い立ちが知られるようになったが、最近の若い人はあまり聞いたことがないかもしれない。戦後沖縄で、在日米軍兵を父とし、日本人の母から生まれたが、助産師のミスから、出生後間もなく盲目となる。親の手を離れ祖母に育てられるが、中学生のときに教会に行く。アメリカに帰った父を見つけて殺すという話を牧師が真摯に受け止めたことから教会と縁が生まれるが、荒れた青春を送っていた。しかし、天性の声をもっていると認められ、神の愛を経験し、両親を赦すようになる。一時牧師職にもあったというが、その後福音歌手としての活動に専念する。
とにかくユーモアある語りが魅力である。駄洒落で観客を笑わせるのが実にお上手である。確かあのステージでも言っていたと思うが、好きな食べ物として、「肉まん」だと断言するのだった。
人を裁かず、人を憎まず。「サバ缶」と「肉まん」を、私も好きだと言えるようになりたい。