神社巡り

2025年5月14日

この数年、福岡県内ではあるが、神社をよく訪れる。休日で遠出ができるときには、大きな神社をひとつずつ巡る。妻が、行きたいと言うのだ。最初は、コロナ禍で人混みを避けるのにはよかったような気がする。
 
もちろん、参拝するつもりはない。落ち着いた雰囲気がいい。日本人として、その風土への親しみがあるのかもしれないが、確かに、神社仏閣を訪ねるのが好きだという人もいる。そして、それが必ずしも信仰心に基づいているのではない場合も多い。
 
自然が残っているのもいい。美しい境内や庭園がある場合もある。神社なら玉砂利の音も、聴覚的な刺激を与える。そういう風の中を、物見遊山で歩くというのを、信仰している人は、罰当たりと見るかもしれない。私たちもまた、キリスト教会を、雰囲気だけで訪ね歩く人がいたら、快く思わないような気がする。
 
信仰する人は確かにいる。鳥居を潜る前に、気をつけをして深々と一礼する人がいる。そう多くはないが、確かに出会う。
 
だが、キリスト教会で時折耳にするのは、神社が偶像崇拝だ、という一瞥である。そして自分の願いばかり言うものだ、と簡単に非難するのだ。――でもそうだろうか。人のための世のための祈りというものは、そこには本当にないのだろうか。あるいはまた、キリスト教の祈りというものは、自分の願いを口にすることはないのだろうか。
 
偶像に向けて祈ることを揶揄するようなことは、預言者の書にもいろいろ書かれている。だが、神社で手を合わせる人が、その鏡や木を、本当に神だと考えているのではないことだけは確かである。誰も、それが神だとは思っていない。神は見えないものだ、という考えがあるから、ひとつの象徴として、何かを置いているに過ぎないのだ。聖書が揶揄する偶像崇拝と全く同じものではないように思う。
 
イエスは、彼らを一つにしてください、と祈った。その祈りは、いまだ達成されていない。キリスト教会は、分裂してしまった。プロテスタントに至っては、そもそもがバラバラである。それぞれが信じたことを正しいとしている。それだけならまだよいが、自分たちの信じたものこそが正しくて、他の信じ方は間違っている、という姿勢をもっている場合が少なくない。多様に信じているということよりも、こちらの方が始末が悪いように感じる。
 
いまちらほらと、ラフカディオ・ハーンの書いたものを読んでいる。ギリシア人と呼ばれることがあるが、アイルランド系やアラブ系も混じっているとも聞く。キリスト教に対して懐疑的なのは、厳しくカトリックの教義を教えられたからだ、とも言われている。しかし日本に英語教師として来てから、日本文化を非常に気に入った(諸説あるようだ)。日本人の考え方や感情などを、よく観察し執筆していることは確かである。
 
現代でも、日本で活動している海外から来た人もたくさんいて、マスコミで見かける人の中には、日本語において、本当に後から学んだに過ぎないのだろうか、と思わせる人もいる。聖書をよく知る文化の地から来た人たちが、日本の宗教についてどう見ているのか、知りたい気がする。しかしデリケートな話題は、基本的にすることがないことは理解できる。
 
韓国から、日本に宣教師として来る人が以前から多い。韓国は、日本と近い時期にキリスト教と出会ったが、社会的な背景もあって、キリスト教が滲透した。儒教的背景はあるものの、宗教としてはいま一番信徒が多いのではないだろうか。大きな教会も建っているし、そこでは、日本の救いのために祈りましょう、という合言葉が出ていることもある。事実、宣教師を送るのだ。そのとき、日本人の加害の歴史を忘れはしないはずなのだが、だからこそ「赦し」というキリスト教の核心が、現実のものとなっているのではないかと思われる。
 
時折、一応仏教徒だと自称する人が、キリスト教は外国の宗教だから、日本の宗教を信じるべきだ、というような態度を示すことがある。時代を遡れば、かつて仏教は、このキリスト教のように伝わってきて、古来の宗教を駆逐するようなことがあったのだ。仏教は日本の宗教とは言えない。
 
そうなると、神社は日本古来なのか。ある意味でそうである。が、特に国家神道として利用されたときには、甚だ問題が多かった。また、神社という形式にさえなる以前の、民間信仰のような素朴な信仰スタイルが、いまなおあることも確かだろう。
 
神社の境内にある売店に、「神社エール」という飲み物が売られていた。洒落ていてよいと思った。但し、手話ではずっと先に、それを使っていた。「ジンジャーエール」を、「神社(鳥居)」+「応援(旗振り)」と組み合わせて、表すことを教えてもらったのだ。
 
小さい頃から、古事記や日本書紀には、それなりに目を通してきたので、幾らかは「歴史」にも馴染みがある。最初のところは、子どもには刺激が強すぎるものもあるけれど……。



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