吉野弘の漢字の詩に
2022年11月30日
吉野弘という詩人がいた。学校の教科書で知ったが、私の心につながるものを感じた。好きな詩人のひとりである。その得意とした分野に、漢字を扱った詩が多々ある。私はその趣味は好むものではないのだが、くすっと笑ってしまうのは確かだ。
そんな中で、深く考えさせてしまうものもある。引用させて戴く。
表裏
「裏」の中に「表」があります
裏を見れば表もわかるのが世の常
「表」だけに目を凝らしても、その中に
「裏」を読みとることはできません
表面に騙されている私たちの日常を、意識する必要がありそうだ。あなたの覚えた違和感を打ち消して、まあいいか、とやり過ごしているうちに、取り返しのつかないことになるかもしれない。どんどん、引き返せない事態になっていき、そしていつしか、自分も加害の側に立ってゆく。裏を知るならば、表も理解できるだろう。だが、表だけしか見ないようにしているならば、裏の世界に、知らずして引き込まれてしまうかもしれない。
これを教会に当てはめることができたら、少しは危機を離れることができるかもしれない。
もう一つ、これはキリスト者ならではの感じ方をした私ではあるが、こんな詩がある。
折と祈
自我を折ることが出来て
初めて祈ることが出来る
キリストを信じるということのエッセンスが、ここにあると言えるだろう。