「私たちと一緒に その先の光を見に行こう。」
2022年3月9日
コロナ禍での受験は、まことに歯を食いしばるような営みだった。もともと受験勉強というものはストイックなイメージがあるが、束縛の大きさから考えても、全くゆとりのない生活を強いられていた受験生である。
兵庫県立大学の広報チームが教えてくれた。受験生へのエール である。最初の言葉は、そこで呼びかけられたものである。
見ていて、胸が熱くなった。2021年の春、やはりコロナ禍の受験を経験した一年生の学生が、2022年受験の後輩たちに対して、メッセージを送っている。今風のアニメが目を惹くが、置かれた一つひとつの言葉が、思いやりに溢れている。若い世代の人たちが、互いに励まし合う言葉を投げかけている。
休校措置、塾も閉鎖という時期があった。友だちとの交流も制限された。それまで当たり前のようにあったものが奪われ、その存在意義を教えられたのはよかったが、その代償は大きすぎた。それでも彼らは、受験に挑むしかなかった。その毎日は、感染予防の不安と緊張に包まれており、ストレスも半端なかっただろうと思う。
その痛みを知る先輩たちだからこそ、後輩にかけられる言葉が、そこにある。上から目線で埒外から偉そうに語る大人とは全く違う。同じ痛みを知る人だからこそ、その言葉にも力がある。大人にできることは、その行動を支えること、エールを送ることであろうか。
新しく道が拓かれた人も、明日が見えないような中にいる。でも、兵庫県立大学の学生が呼びかけているように、「その先の光を見に行こう」という言葉に、希望を懐き続けたいものだ。もっと大人の私たちなんかは、「一緒に」というわけにはいかないだろうが、君たちにだったら、安心して託せるような気がしてきた。私たちにも、希望を与えてくれたことを、感謝したい。