キボウと孤独
2022年2月15日
藤田麻衣子さんの歌で、「wish〜キボウ〜」が、NHK「みんなのうた」で2019年に流れていたそうだ。この「みんなのうた」は、ここのところ過去の歌を拾う企画が進められており、その中で私も認識した。
いい歌だ。
著作権の関係でここに歌詞をすべて載せることはできないため、お手数をおかけしますが、見つけて戴きたい。
初めは、アメリカの精神科医ジョージ・ウェインバーグの言葉から始まる。「希望はあなたを捨てない。あなたが希望を捨てるのだ」
しかし歌の主は、どうにも動けず辛い中にある。時を戻したい。でも立ち尽くすしかない。信じていた希望さえ消えようとしている。誰かが励ましてくれる。優しさは理解する。でもそれが辛くて心を閉ざしてしまった。気遣って笑顔を見せようと頑張るから、また疲れていく。
言葉にならないけど、叫びたい。きっと悲しみには何か意味があるのだと聞いたことはあるが、それが何かは今以て分からない。
ここからこの人は、もう一度希望が与えられるようにと顔を少しだけ先へ向ける。わずかでも明かりを灯そうという願いが、芽生えてくる。
その転機となったフレーズだけは、引用をお許し願いたい。
形は同じじゃなくても
同じ痛み抱える人に
癒されて 救われて
孤独な私を 独りにしない
誰かがいる
温かい風が吹く
私は孤独だ、だが、同じ痛みを抱える人に出会って、癒され、救われる。温もりを覚え、見る向きが変わっていくのだ。
並木浩一という神学者がいる。ふとその人の話した記録を読んで、私の心によく馴染むのを忘れていたので覚えた。探してみると、説教集がある。『人が孤独になるとき』(新教出版社)が入手しやすかった。この題は、収められた説教のひとつの題である。創世記から、ヤコブの生涯を取り上げたもので、少し長いメッセージであった。その締め括り近くの一文だけを引用する。
神は、ヤコブが人に対して立場を失って孤独となるときを待ちたまい、そのときにほんとうに彼と出会いました。(p85)
孤独な人も、否、孤独な人だからこそ、そこへ神が近づいてくる。呼びかける声がどこからか聞こえ、絶望とは別の方向に目を向けさせてくれる。おそらく今は、イエス・キリストという姿をとって、そうしてくださる。むしろ、孤独を真に知る人だからこそ、イエス・キリストが現れたことを知るであろう。