十字架上の七つのことば

2018年3月11日

「の」は曖昧です。主語にも目的にもなるし、もちろん所有も表します。聖書の「の」のような語の役割は、その受け取り方によって様々な神学を生み出すことがあります。「十字架の言葉は、滅んでいく者にとっては愚かなものですが、わたしたち救われる者には神の力です。」とコリント一1:18でいう時の「十字架の言葉」は、十字架にまつわる言葉、十字架に救いを見出していくというこの信仰を表しているものと思われます。しかし今回、イエスが十字架の上で発した言葉に注目してみたいと思います。
 
「十字架の七言」などとも言われ、主イエスが十字架に架けられたその上から発したものとして福音書に記録されている七つのことばがよくまとめられます。そこに留まり徹底的に黙想するということも、よく行われます。答えを急がず、何か調べて終わりというのでもなく、一人ひとりが自分とイエスと向き合う時をゆったりと保ち、一つひとつのことばを味わうことをお勧めします。
 
十字架刑がこの春の時季になされたことは確実です。過越の祭に伴う記述は、旧約聖書の預言との合致のために設定されただけとするにはあまりにリアルで、福音書の中でも大きなウェイトで描かれているからです。十字架とその先の復活を見据える時間を、どうか大切になさいますように。キリスト者の原点として、十字架をしっかりと見つめてください。
 
これらの順序は、編集者により異なりますが、一般に多く並べられている順に示すこととします。
 
1. 「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」(ルカ23:34)
 
2. 「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」(ルカ23:43)
 
3. 「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」「見なさい。あなたの母です。」(ヨハネ19:26,27)
 
4. 「エロイ・エロイ・レマ・サバクタニ」(マルコ15:34)「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」(マタイ27:46)――わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか。
 
5. 「渇く」(ヨハネ19:28)
 
6. 「成し遂げられた」(ヨハネ19:30)
 
7. 「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。」(ルカ23:46)
 
可能な限り、日本語でも他国語でも、いろいろな訳を比べてみるとよいと思います。新共同訳だけを基準にすると、一定の思い込みの中に陥る危険性があります。もちろん、原典のギリシア語を参照すればさらに何か発見があろうかと思いますが、その辺りは各自の関心と時間の中で。
 
  黙想 十字架上の七つの言葉  加藤常昭
  十字架の七つの言葉―キリスト教信仰入門  西谷幸介
  十字架上の七つの言葉と出会う  ウィリモン
 
十字架上の七つの言葉をタイトルにもつ本の中で、現在入手可能であろうものとしては、以上のものがあるようです。私は最初のしかまだ読んでいませんが、価格と機会を見つめながら、いずれも読んでみたいと考えています。



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