YMCA記念日

2017年10月7日

10月11日は、キリスト教青年会(Young Men's Christian Association)の創立記念日。創設者ジョージ・ウイリアムズの誕生日を以て記念日としています。ただし、YMCAの誕生そのものは、1844年の6月6日、ロンドンに集まった12人の若者が祈り始めたことから始まったといわれています。劣悪な労働環境の中で荒廃していた若者たちの心を救うにはどうすればよいかという祈りは、教派を超えて、若いキリスト者たちをつないでいきました。
 
日本でも明治期にYMCAが伝えられ、東京YMCAが1880年に開設されたことを皮切りに、大阪・横浜・神戸と二年おきに設立され、大学にも置かれるようになりました。福岡は1947年に始まりました。日本での開設に関わった一人が、小崎弘道でした。熊本バンドから同志社で新島襄に学び(大河ドラマ「八重の桜」にも登場していました)共に伝道した牧師で、霊南坂教会を設立しました。また同志社でも新島襄の後を継ぎました。この小崎が、Young Men's Christian Association を「基督教青年会」と訳したとき以来、日本で「青年」という訳語が用いられるようになりました。「宗教」という訳語も、小崎によるとされています。
 
YMCAは当初から、クリスチャンでない人でも、運動に関わっていくことを是とし、教会内だけの運動とはしませんでした。それがまた、大きく拡がっていった原因ともなりました。しかも、若い信徒たちのグループから始まり、教役者や教会組織による主導でなかったことも、その運動のためにはよかったと考えられています。
 
その目的・使命は「みんなのものが一つとなるために」(ヨハネ17:21)を通して、人種や国籍、信条や階層の壁を越えて、「共に生きる世界」をつくり出すことにあります。雪が降ろうと狭い場しかなかろうと、健全なスポーツを楽しめるように、とこのYMCAによって、バスケットボールやバレーボールが1890年代に考案されたこともよく知られています。20世紀初頭には東京YMCAがいち早くこれらのスポーツを日本に紹介しています。そして100年前には、日本初の室内温水プールのある総合体育館を作りました。
 
京都のYMCAではお世話になりました。京都にまだ進学教室があり、鍛えまくる塾ではなく、上品な形で人間教育を施すタイプの塾として、一定の評価を受けていた頃でした。私は経営には疎く、現場で子どもたちと保護者だけを相手にさせて戴くばかりでしたが、しばらくの間責任を担う形で参与させて戴きました。プライバシーとして明かせませんが、私学の学園長のお孫さんや歴史的人物の子孫、人間国宝の血筋のお子さんをお預かりしていたこともあります。
 
1995年の阪神淡路大震災の時には、私は教室を守らねばなりませんでしたが、仲間が現地へ向かい、救援と支援の活動に汗していました。その点、教会の牧師や関連教会の牧師などによるグループも同じで、当時は本当に祈るばかりでした。私も、一つ間違えれば命を落としていましたし、あの縦揺れの衝撃はいまなお体が忘れません。その後、東日本大震災や熊本地震などの大きな揺れを体験した方がたくさんいらっしゃいますが、体が知る揺れというものは、理屈や意志では否定できず襲ってくるものであることを、私はよく理解しているつもりです。心のケアは、外部の人には想像もつかないものが潜んでおり、難しいところがあるものです。
 
ところで、日本のYMCAは、2017年10月1日より、新しいブランドロゴに変更しています。聖句入りのロゴではなくなり、よりポピュラーなものとなりました。少し寂しいですが、社会により広く受け容れられるようになっていくことを願わざるをえません。キリストの業は、様々な形で世に仕えて、さしあたりなされ続けています。


沈黙の声にもどります       トップページにもどります