『私の日記習慣』
リンネル&MonoMaster特別編集
宝島社
\1345+
2026.2.
MonoMasterというのは、宝島社の付録付きの雑誌、リンネルもそうだが、女性がターゲットであるらしい。今回は男女関係なく手に取ってもらえるというコンセプトなのだろうか、「日記」というアイテムを用意した。そうした特別編集のムックである。
タイトルには飾り言葉がついており、「やりたいことがかなう! 心が整う!」という触れ込みである。
かつての文豪の中には、その日記が公開されているものもある。そもそも公開を目的に綴ったと思しきものもあるから、ひとつの文学形式でもあったのだろう。中には、要人の日記が、恐らく私的であるはずなのに、文献資料として出回っていることもあるようだ。だが、それらは歴史的に価値のある内容だという前提がある。私たち庶民の日記など、他人に見せるものでもないし、他人のを見る機会もない。
そこへきて、この特集ムックでは、何人もの人が、その日記を見せてくれている。たんに日記帳の販売促進のための宣伝ではないのだ。
そうか、こんなふうに書いているのか。見て驚く。狭い四角枠の中にぎゅうぎゅうに、わずかな言葉を並べている人。すべてをイラストで表現している人。コラージュを交えたものもあれば、写真を貼り付けたものもある。最近では、スマホのアプリによる日記なるものも多いらしい。
自分なりの日記論があり、日記の実践が、カタログのように並んでいる。さながら、それぞれの人生を垣間見る機会であり、日記帳というグッズの紹介にもなっている。ときには筆記具も宣伝されていて、自分の枠に留まっているだけの私にとっては、良い刺激になる。
表紙のタイトルの下には、「積み重ねた日々の記録は かけがえのない自分だけの宝物」というコピーが目立つように置かれている。また、その両側には縦書きで、「読み返すのが楽しみ♪」「「書く」とすっきり!」と並んでいて、表紙を見た人の心をくすぐるかもしれない。
だが、それは「書く」ことを厭わない人にとってのことだ。そんなのは面倒だと思う人もいるし、そんな暇はない、という人もいるだろう。すべての人に届く言葉ではないかもしれないが、何かしらクリエイティブな作業を好む人もいるわけだから、参考になることも多いだろう。
中学生に勉強を教えているが、友だちの勉強の仕方や工夫は、かなり参考になるだろうと思う。しかも、塾では他の中学の生徒と肩を並べることになる。他の学校の情報を得ることもあるだろう。自分の学校で当たり前だと思い込んでいたことが、実は特殊であることを認識もするだろうし、実は自分がかなり恵まれている、と思うことがあるかもしれない。ともかく、自分の行動範囲の外からの、似た境遇の人と触れ合うことで得るものは少なくない。
日記という、最もプライベートな場を覗くということは、案外経験できることではない。何も自分が日記をこれから始める、という動機がなくてもよいだろう。興味本位でもいい。ちょっと覗いてみることに、意味があるのではないか、と思うのだった。

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