◆事前に対策を立てるのが危機管理

 事前にできる対策はなかったか。何か重大事件が起きると、よくそう言われる。もっと何かができた、と。
 だが、中には、十分何かができていた、という評価をしてよい場合がある。
 つまり、何かができていたが故に、それまで何事も起こらなかったのだ、と。
 何も起きない以上、あることが良かったために防止できている、ということが現れてこないのだ。
 たしかに、杜撰な管理体制の中で、偶然何事もなかった、ということもある。だが、よい対策が立てられていたがゆえに、事件が防止できた、ということは、証明できないものである。よくぞここまで何も起きなかった、というほめ方もあろうかと思うのである。
 ということは、危機管理とは、「そんなことはしなくてもいい」ということとは対極にあり、「そこまでしておこう」という配慮のことである。
 悲しいかな、教育の世界もまた、しばしばこの点が全く分かっていない。取り返しのつかない犠牲者が現れて初めて、あたふたと、しどろもどろの会見が行われるという点が、最も悲しい。もはや、学校公務員も教育行政も、「教育者」あるいは「プロ」ではなくなったのかもしれない。それとも、たんに質が落ちたというだけのことだろうか。
つぶやきの カ・ケ・ラ


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