◆日本の中心で日本こそ最高だと叫ぶ ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、一神教だから自分が正しいという考えでぶつかり合い、争いが絶えない。それに対して東洋思想、とくに日本思想はアニミズムや多神教で寛容であり、和を尊び、平和である。 えてして、こういうことを言う者は、日本の作法や伝統文化を学んだ人ではないことが多い。となると、何か統一を図っている考えが優先している人か、または、たんに日本人としての自分が正しいと自己肯定をしたいだけの人なのか、という感じがする。その点を見ぬいた上での議論でないと、議論が自分を離れて存在するというのは、まさに西洋的二元論の欠点ではないだろうか。自分を絶えず考慮に入れて発言するというのが、その人たちの支持する日本的な和なのではないのだろうか。たんに日本人であるがゆえに、正しいとしたいがゆえの心理とすれば、なんと罪な発言であることか。 一神教は危険だ、として熱心にそれを否定する。そのとき、この発言者は自らが一神教の強烈に推進者として他を排斥していることに、気づいていない。 ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、宗教として互いに他を否定したり排除したりするようなことは、まずやっていない。だが、多神教で寛容で、平和主義である日本人だけが、こうした一神教(はたして「一」と言ってよいのかどうかについてはここでは気にしていない)を排除し攻撃し、否定しようとしている。そして、それを矛盾とも、妙だなとも気づいていない。 日本思想は、宗教という区別を超えて、恐ろしい破滅者として機能しようとしているのだろうか。 |