◆急造の平成教育予備校 平成教育2005予備校というテレビ番組が話題になっている。 解答者としてレギュラー出演していたライブドアの堀江貴文社長が、フジテレビとの確執から降板され、しかも収録分まで没となり急遽再収録されたものが、2005年2月20日に放送された。 その日の科目は国語。他の科目に比べて比較的制作しやすい科目だからだろう。 しかし、内容はひどいものだった。私が気づいただけでも、誤りが2つあった。 一つは、基礎学力ドリルから、写真の人物を当てるもの。それは、昔の千円札の肖像にもあった、初代内閣総理大臣の伊藤博文のものだった。 解答者の書いた文字の「博」の右上の点が欠けているものを不正解と採点しながら、ひらがなで「いとうひろふみ」と書いたものを正解としていたのである。 通常、「ひろぶみ」と言われていると思うが、アナウンサーも「ひろふみ」と発音していた。 もし、「ひろふみ」でも正しいのであったとしても、次のは明らかにおかしい。 漢字の成り立ちで、象形・指事・会意・形声の四つを解説する点はよいのだが、パネルは「指示文字」となっていた。ある解答者は、このことについては詳しい、と自負もしていたが、誰一人このパネル――それはただ背景に飾ってあったものではなく、かなり長い時間映し出され注目されたものであり、その次に出される問題の文字もこの指事文字であった――の誤りに気づいていなかった。 もしかすると、福岡で一番難しい中学受験を突破している堀江さんが出演していたら、気づいたのかもしれない? その関係の事情で慌てて制作したために、誰もチェックできていなかったのだろうと思うが、バラエティであるがゆえに嘘の知識を垂れ流してよいという理由はない(少し前の理科の問題でもおかしいと指摘している人がいた)。未成年女性タレントAが窃盗事件を笑いのネタに使ったことといい、感覚が市井の人とはずいぶん違うように感じる。 少数の考えが全体に染まる危険性の一つがこういうところに現れていることに、私たちはもっと敏感であってよい。 |