◆WBCチャンピオン

 野球人気が復活。そのように一部のマスコミは騒ぐ。
 WBCの二次リーグ以降、急に日本が野球、野球と騒ぎ始めたことと、優勝を決めた試合でえらく盛り上がったからだ。
 カーリングの場合と違い、野球そのものに物珍しさはない。それは逆に言えば、潜在的に多くの人の心にある野球への愛着が、破れたと言えるのかもしれない。
 選手たち自身は、ふだん自分がやっていることの中で喜んでいるだけで、私などは、その喜びにも共感するし、健闘を称えるものである。感動と勇気を与えてくれたことを、素直に感謝するのが本音である。
 だが、予選や壮行会の観客席のガラガラさと関心の無さを見ているだけに、急激に盛り上がったこの大会への関心あるいは熱狂とも言うべきものには、どうかなと思える部分ももっている。
 勝てば官軍。勝った者、強い者に、自分を重ねて自分が高まったとするのは、何も特別な性質ではなく、よくあることである。
 しかも、理不尽な悪役にいじめられ、それをじっと耐えた者が、やがて正義を盾に戦って勝利を収めるという、理想的な筋書きが叶えられたとあっては、なおさらであろう。
 しかし、国を挙げて外国との戦いに対する勝利に沸く風景に、それが急激に熱狂していったものであるだけに、恐い勢いを感じるのも正直なところである。考え過ぎかもしれないけれども。
 スポーツの場合は、負ければ無関心を装えば済むことである。しかし、別の外国との戦いについては、勝てば沸くにしても、負ければ死が及ぶ。それも、害は、責任幹部が一般国民に向けられるように仕組んだのが、過去の実例である。
 つい先ほどまでは、誰もがイナバウアーという専門用語を口にしていた。それと前後して、カーリング娘(モーニング娘。じゃあるまいに)ももてはやされた。こちらは、頂上の勝利ではなかったが、物珍しさとNHKの報道姿勢とが盛り立てた。サッカーのW杯日韓開催のときにも盛り上がったが、totoの運営にはその後苦労している。そんな日本人をよく知っているため、スポーツをよく知る識者は、野球人気ということに手放しで喜んでいるわけではない。
 興行としての野球のことを、経済的に懸念することも必要だが、私は今回、すばらしい野球小僧(この言葉、川アくんによく似合うが、今回はイチロー選手にもぜひ向けよう。王監督も、その一人であることは間違いない)たちに、思い切り打つ拍手と、いつも応援しているよとの声を贈りたい。
つぶやきの カ・ケ・ラ


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