本

『完全図解工作図鑑・作って遊べ!』

ホンとの本

『完全図解工作図鑑・作って遊べ!』
かざまりんぺい・えびなみつる
誠文堂新光社
\1470
2004.6

 マニュアルで遊びを伝えることが、情けないなどと言っていられる場合ではない。形にして記録に残しておくことが、今や急な課題なのである。
 とはいえ、これらの遊びを知っている私としては、文句なしに楽しい一冊である。最近、こうした類の本が増えてきた。百均の店にも、だるま落としやギザギザプロペラなどが売られている。郷愁を誘うだけが目的だろうか。いや、小さな子をもつ親は、子どもにこれを教えたい、という思いで買っていくのである。私も、子どもたちに独楽や将棋などを教えたくてうずうずしていた。そしてベイブレード好きな子どもたちも、独楽とは何かを知って育つことはできるようになった。電子ゲームよりは将棋のほうが楽しいと思えるように育ってくれた。
 それでも、教える私のほうが、遊びについてはふがいない。どう教えたらよいか……本に頼らないといけない面がある。こうした本が最近多く出版されているのは、むしろ歓迎したいのである。
 その中でも、ここに紹介した本は、一つの工作について多くの頁を割き、またその説明が適切で丁寧である。遊び心も多く、ただ読んでいても楽しく進むことができるのがいい。また、吹き矢やパチンコなど、かなり危ない遊びも紹介されているが、それへの注意も、人生の先輩として、そして大きなからだをした子どもの一人として、本から語りかけられているので、嫌味がない。子どもを信頼して、危険な遊びも教える。本来、それが正しいあり方である。少なくとも、私は、そのようにして育った。今の子どもがどうだとかでなく、たとえば正しい刃物の使い方を教育することは、もはや切実である。
 教会学校で、こうした工作を利用するのも大変よい。安上がりな道具で、ちょっとの手間でできる。手間がかかりすぎないのもよくない。少し苦労したり工夫したりして製作するところに、意味があるのだ。もちろん、苦労しすぎないことも必要だ。その辺りのバランスは、教える側の腕の見せ所だろう。
 とにかく、ここに挙げられた遊びの数々は、実に分かり易く、伝えられていると思う。その点では、類書に一歩リードする。著者自身の体験を交えた解説は、遊ぶ側にしてみれば貴重なアドバイスである。まるで、ガキ大将がそこにいて、ちょいと威張りながら、遊びのコツを教えてくれているかのようである。
 もっと、遊びを「作ろう」ではないか。




Takapan
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