本

『身近な雑草のゆかいな生き方』

ホンとの本

『身近な雑草のゆかいな生き方』
稲垣栄洋
草思社
\1785
2003.7

 読むのがもったいなくて、しばらくほうっておいた。でも、読まないままに終わるのはもっともったいなかったので、また開いて読んだ。
 文学的に文章のうまい人がいる。私のような凡人にはその味わいもよく分からない。私にとって分かりやすい、文章のうまさというのは、何だろうか。それは、的確に選ばれた言葉と、意外なものを見事に関連づける展開、しかもそれが不自然ではないという形で。あるいは、身近なものに触れつつ、共感できる人生観に必ず重なってくるような話の筋道であるともいえる。
 私が目指したいから、そう思うのかもしれない。
 そして、そんな私が、「この人には適わない」とため息をついてしまうのが、この本の著者なのである。このことは、類書の感想としても、以前に記したことがある。
 科学的に的確な知識と説明、それと社会現象や人生観との重ね合わせ、そこへもっていくさりげない文章の流れ、いずれも、見事な運びである。
 それに、そこに記してある科学的知識の、なんと驚くことだろう。私も全く気がついていなかったのは、「かまぼこ」と「ふとん」との深い関係である。なんだ、そんなことも知らなくてよくぞここまで生きてきたもんだ、と天を仰いだのである。
 文章については好みもあるだろうから、押しつける気持ちはないのだけれど、この本が感動的な本であったということは、いくら宣伝してもよいかと思う。




Takapan
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