『和歌山信愛中学・高等学校 賢い女性の育て方』
木智視
パレード
\680+
2019.9.
カトリックのミッションスクールについて、作家の著者が印象的に語り続ける、小さな一冊。いまどきキリスト教関係の本であればこれくらいで千円はくだらないが、その三分の二に留めている。著者は受賞歴もある作家だが、この和歌山信愛中学並びに高等学校の教師であるようだ。
正直言って、タイトルを見たとき、これでいいのかと思った。「賢い女性の育て方」とはなんとも時代に逆行しているアピールではないだろうか。まるで女性は賢くないかのようでもあるし、女性を育てるというのは、いかにも男性本位の世界での言い回しのようではないかと感じたのである。
しかしカトリックの学校である。関心をもち、発売日に届くように予約までして入手した。すると、どうやら本書は、学校のピーアールのように見えて仕方がなかった。そこで行われている教育について様々な形で解説していて、書物という形での、学校PRパンフのように見えてきたのだ。その意味で、書かれてあることには立派だという思いを懐くものであった。
帯にもあるように、テーマは「あなたがあなたであるがゆえにすばらしい」というもので、以下様々な学校生活の一部を切り取って文字表現されることが続いていく。ところどころだが、女子生徒を中心とした写真も収められている。素人的な写真ではあるが、好感の持てる写真である。
学習面にも、生活面にも、実によいことばかりが書いてある。よく考えること、しかし愛をもって臨むこと、そんなことが根底にあるのは、キリスト教教育のよいところであろう。否定的なことは少しも述べない。よいものだ。
お嬢様というような気取りはなく、もっと庶民的ではあるのだが、清楚で女子の華やぐ姿が垣間見られ、なんともお伽噺のような気配すら漂う学校に見えてきてしまう。そのままドラマかアニメにでもなりそうだが、事件も何も起こらないような気もする。
絵空事であるかのようにすら見えて仕方がないのだが、必ずしもそうではないような感じでもある。美しく描写し過ぎるかもしれないが、こうした教育方針をもって日々挑んでいる学校があるのかと思うと、うれしくなる。こういうところになら行かせたいと思う親御さんも多いのではないだろうか。その意味では、本書がもっと陽の当たるところに出て、知られるようになったらいいと思う。評判になるほどの本ではないかもしれないが、それとてどうだか分からない。なんなら私が微力ながら宣伝もしよう。微力に過ぎるのだが。
つまりは、教育とはどういうことであるべきか、それをいま一度考えさせてくれるのである。たとえば自由主義神学が広まることで、聖書にはどうせ人間臭いことばかりが書かれてあるんだということが常識のようになりつつあるが、その中でピュアな信仰を貫いて生きている人によって、目を覚まされるような感覚である。このピュアさを、私たちは忘れていたのかもしれない。教育の美しい理想を目指すことをしてよいし、できるんだという気持ちになってくる。美すぎるかもしれないが、この夢を実現し、それを公表してしまった。さあ、これから世に染まらないようにね。
だからまた、「賢い女性の育て方」ではない、別のタイトルがあったほうが、もしかするとよかったのではないか、とも思ったが、案外このピュアなネーミングこそが宝であったのかもしれない。私の不理解の故であるとしたら、謝るしかない。