本

『地図で読む世界情勢 第2部 これから世界はどうなるか』

ホンとの本

『地図で読む世界情勢 第2部 これから世界はどうなるか』
ジャン−クリストフ・ヴィクトル他
鳥取絹子訳
草思社
\1575
2007.8

 広い見識に基づく分析は、地図という視覚的な手段によって、誰にでも分かりやすく伝えられるように配慮してある。
 すでに第1部として、「なぜ現在の世界はこうなったか」があるという。
 しかし、過去と未来という形で区別できるというよりも、上下巻にタイトルを付けたという感じがする。第1部が世界を順に見回してくるのに対して、第2部は、問題を絞り捉えていく。
 まずは「戦争の論理」について。正義の戦争を問うことから始めて、チェチェンやコートジボワールなどの問題を、その背景から解説する。もちろん、地図を用いて、どこでそれが起こっているか、なぜそうなるのか、伝えるように努めてある。
 次が経済問題である。あらゆる不平等と環境の危機も含めて、地球の全体の危機として捉えるように述べられていく。
 えてしてそれらは、数字による地図となっている。人間のすべてが数字で捉えられるわけではないけれども、数字は理解の一つの手段として有効である。まず数字から始まり、深い想像力をもって、人の痛みと自分の立つ場所とを、そこに見出してゆくようにしたいものだとつくづく思う。あまりにもこれらがない政治経済であるゆえに、ますます争いと環境悪化が伴うのである。私たちは、未来をどんどん閉じようとしているようにさえ見える。未来を狭くするというのは、私たちの本意ではない。だが、誰もがそれをやってしまっている。
 こうした本が、もっと売れたらいいと願う。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります