本

『私たちのワークスタイル』

ホンとの本

『私たちのワークスタイル』
崎山みゆき
ゆいぽおと
\1680
2007.3

 女性の立場から、女性の姿を、統計をあらゆる根拠として提示した本である。
 もちろん、タイトルが示すとおり、働くということについて。女性が労働をするということに関して抱える問題とともに、働くあり方、その意識といったものについて、多数意見はどうなのかということから、ずばずばと斬り込んでいく。
 こういう視点が、必要なのである。
 フルタイムを避ける傾向があるからといって、それを非難する理由は、誰にもない。それは、身も心も会社に捧げてぼろぼろになるよりも、別の大切なことを念頭に置いているからであるともいえる。欧米では、家族のイベントを仕事よりも優先することが許される、あるいはそれを当然のものとして優先する、考え方があるという。欧米にしても、企業戦士は当然いるものと思われるが、それがすべてではないということは確かなのであろう。まるで、日本のパートタイマーと、欧米のフルタイムの人とが、類似点をもつかのようである。
 統計というものには、罠が潜む。質問の設定の仕方によっては、必然的な回答の流れができたり、誘導的になっていたりする可能性もある。また、どうしても明確に区分して回答しなければならないため、曖昧な領域の人が、どちらかの偏った側の意見として登録されてしまうこともある。つまり、質問や項目次第では、別の結論を出すような結果が現れる可能性すらあるということである。
 また、ソースも問題である。Webサイトにおける投票であれば、当然その利用者の回答であるという制限がつきまとう。地域別の意見の異なりも反映されない統計結果も多々あるだろう。すでにそこにある統計が、すべて重大な意義をもつという前提で、過大評価することも、禁物である。
 だが、それにしても、多くの人がなんとなく抱いている傾向を知る点では、有効である。為政者が自分だけで思いこんでいる世界よりは、遙かに広いものを示しているのである。
 ページの半分は、統計表である。これを見ているだけでも、唸らされることが多い。統計を見るためにも、覗いてみると役立つものがあるだろう。




Takapan
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