本

『世界早わかり地図』

ホンとの本

『世界早わかり地図』
清水靖夫監修
PHP研究書
\1050
2008.3

 見開き2頁に、日本を中心とした世界地図。多くの頁がそうなっている。解説は、本の末尾にまとめて手早く載っているが、これは学習者のために知識の基礎を伝えるような役目を果たすもののように見える。そこそこの社会常識をすでに身につけている人は、本編の地図の資料を見ただけで、感じるものは多々あるはずだ。そちらには、解説めいたものは、まず殆どない。
 本のタイトルには、「くっきり色分けで読む」とある。読むというよりは、見るでもよいのではないかと思ったが、見たときに、その内容を確かに読んでいるのだから、これはその通りだと納得した。同時に表紙には、「ぱっと見て理解!」とも書いてある。見やすさを配慮しているのはよく分かるし、看板に偽りがあるようには感じなかった。
 何カ所かにわたって、淡い色合いの差が、色覚の上でハンディを負っている人には分かりづらいのでは、と思われる色使いの地図と、これは明らかに失敗だろうが、緑の背景に赤の数字がたくさん入っている頁があった。色分けだけで情報を伝えるというのは、比較的多くの確率をもって世の中にいる、色覚のハンディ者のことを考えると、改善しなければならない点なのであるが、さすがのPHPも、そこまで配慮した本作りはここではできなかったか、と残念である。
 色分けということをウリにするのならば、そこまで配慮してほしかった。
 とはいえ、目指した内容そのものについては、ありがたく受け止めた。ときおり、テレビでの世界情勢の解説において、ボードに地図の資料が示されることがあるが、そういう場で見たことがあるような地図も、ここにはあった。まさに、そういうコンセプトで作られているのであろう。外務省や国連などのHPにある地図を掲載しているものも多く、理解に役立つ地図がまとめられている、と理解するとよいだろう。
 小学生にも見て取れる内容であるが、大人も時間をかけてこれを睨み、ゆっくりと世界に想像の目を向けることが必要だろう。いや、それは想像の世界の話ではないのだ。ここには見えないかもしれないが、たしかに起こっていることだし、私たちの知らない常識が、世界にはたくさんあるということを、痛感しなければならないだろう。




Takapan
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