『もしもウサギにコーチがいたら』
伊藤守
大和書房
\1050
2005.11
はたしてウサギとは何か。どこにも説明されていない。説明されていないけれど、楽しんで読める。ビジネスマン対象に書かれた本なのだろうが、必ずしもそこに限定する必要はない。限定されないためにも、ウサギとは何であるのか、明言されていない。
サブタイトルは、「やる気」を引き出す33の方法、という。人を育てるコーチングについての本だが、この「ウサギ」と称されているキャラクター、たしかにどこにでもいそうである。もっと言えば、私自身であるかのようにも読める。
ウサギはたとえば、「聞きたいことしか聞いていない」し、「自分の理屈でしか動かない」。それでいて、「自分の話は聞いてほしい」。そこで、こうしたウサギに対しては、「アドバイスはしない」ほうがいいし、「苦手なことを克服させない」ことが肝腎だという。
だいぶ前には、「新人類」の扱い方に窮した「おとな」たちが、それへの対策を練った。今度は、その「新人類」が、部下の掌握に困惑している。これらはパラレルであるかのようで、全く同一であるかのようにも見える。
人間心理に深く立ち入ったり、様々な要因を考慮して思いやりを利かせるというふうな本ではない。人間を利用するためのノウハウのようなものであるから、組織の部品として活用するような働きが主眼であることを念頭に置けば、読むだけでも楽しい。
図解という表題も付いているわけだが、このウサギのマンガがまた面白い。ちょっと覗いてみるには手ごろなビジネス書であるかもしれない。
因みに、我が家では、我が子が何を考えているか、このウサギと比較してみて、納得することしきりであった。