本

『運動会で一番になる方法』

ホンとの本

『運動会で一番になる方法』
深代千之
アスキー
\1470
2004.10

 さかあがりができない子のためのトレーニングあるいはコツの伝授といった本が出ている。ネットにもそのまま公開してある。
 ただ根性でできるというものでもないし、練習量だけでできるほど甘くもない。ちょっとしたコツを教えることができれば、教師として合格である。自分でできるということでなく、その子がどうしたらできるようになるか、が問題なのである。
 この本では、短距離走のトレーニング方法が明らかにされている。それは、股関節を活性化するということであるらしい。
 内容を私がここで明かす権利もなければ、能力もない。お読み戴くしかないのである。
 ただ、こうしたコツの伝授というものは、はたして書物だけで伝わるものであるだろうか。私はそのあたり、怪しいと思う。
 もちろん、伝わる人もいるとは思う。しかし、概してダメではないか。それは例えば、予備校や塾の講義の実況中継云々という面白い参考書が出ているのであるにせよ、それを読めば成績が上がると断定できないからである。たしかに参考にはなるだろうが、それと実践との間の距離は、極めて遠いのである。
 従って、この本を読めば速く走れるようになる、と宣伝するわけにはゆかない。しかし、ある確信をもって、そしてデータや理論をもって、このトレーニングを受けている子にとっては、この本は有用であろう。それが親であってもいい。実践があって、その背景理論として、こうした書物が確信を与えてくれるというのであれば、利用価値があるものと思われる。
 なかなか理論のみでは、呑み込めないものだ。
 この本は、内容をDVDで紹介するものも販売されている。それなら少しは分かりやすくなるだろう。しかし、素人が判断してトレーニングをするというのであれば、何か間違いや無理が加わる可能性も高い。あくまでも、専門家が実地に指導してこその能力開花であろうし、素人がこの本を使いこなせるという楽観は禁物であろうと思われる。
 それにしても、魅力的なタイトルの本はいい。多くの人に手にとってもらうことができるからである。




Takapan
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