本

『うどんの絵本』

ホンとの本

『うどんの絵本』
おだもんた編・あおやまともみ絵
農文協
\1890
2007.2

 私たちが、うどんについて知っておいたらよいこと、楽しくなることの、すべてがここに詰まっている。いつも繰り返すが、こういうのを子どもの絵本として大人が見向きもしないのは、じつにもったいないことだ。大人こそ、気軽に読めるという意味でも、読んで吸収すべきなのだ。
 そもそも、うどんとは何なのか。どうして細長いのか。うどんの先祖は何か。うどんの多種多様の紹介。コシの秘密。実際に作るための道具や手順、それは実に細かくひとつひとつの過程が写真やイラストと解説で載っている。薬味のあれこれや、保存の仕方にまで、実に細かい配慮が行き届いている。
 大人は知ったふりをして、どこそこの店のうどんが美味しいとか、やれ何のだしがどうだとか、蘊蓄を重ねることがあるけれども、そもそもどうして麺という形態になったのかとか、製造過程のどういうところでコシが決まってくるのかとか、実際に作る側にならなければ知らない大切なことは、抜け落ちていることが多い。グルメというのは、実はせいぜい店の名前を知っているかどうかという程度でしかないことがあるのだ。
 この絵本には、グルテンの生成過程もきっちり説明されている。25グラムの小麦粉が、10メートルにも伸びるなどの実験も紹介されていて、わくわくする。
 生活の中でいつも触れているものに、たくさんの不思議がいっぱいある。子どもたちはこんな科学が大好きである。大人だって、面倒くさがらなければ、これを楽しむ心はいっぱいあると思う。そして今日から、うどんを見る目が変わってくる。それでいい。




Takapan
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