『理詰めのトレンド予測』
森田洋一
秀和システム
\1260
2006.6
ビジネス本は、いかにも、ということが書いてあるが、さして深い考えを擁しているものではない、という先入観がある。
どうやったら金儲けができるか、という方策のような気がして、話半分で読むものだという理解が私にはあった。
金儲けは、結果論では言えるだろうが、予測することなど、無理なのではないか。当然、誰もがそう考えている。そういう考えに対する挑戦のような本書は、たんなる思いつきや結果論の本とはひと味違うかもしれない。
年表が面白い。あるテーマで、流行したもの、成功したビジネスがまとめられている。そういうのが、ある基準で循環しているということを示すために、うまいこと並べられている。
しょせん、それも結果論に過ぎない。どういうカテゴリーで括るかによって、見方は変わるものである。まるで、聖書の中に暗号が隠されている、と得意げに語る人のようだ。
だから、ビジネスを成功させよう、トレンドを見出そう、と本気で考えるならば、無理がある。著者は、そのような方向で煽っているように見えるけれども。
それよりも、利用価値はある。人の好みが変化していくという仕組みである。自由を謳歌することの許された制度の国では、いつまでも同じことでは耐えられないのだ。すると、角張ったデザインがしばらく続けば、次には丸っこいデザインが好まれるようになるに違いなく、それもしばらく続けば、また角張ったほうに向かうことは、落ち着いて考えれば、当然のことである。
これを、世代の差と性差で思い切ってパターン斬りをして、言い切ってしまうところが、ビジネス系のコンサルタントだなあと感心する。
これまでどんなものが流行してきたか、という資料が提供してあると思えば、なかなか面白く読める。