本

『「東洋哲学」は図で考えるともっと面白い』

ホンとの本

『「東洋哲学」は図で考えるともっと面白い』
白取春彦
青春出版社
\1050
2005.3

 図解されており、1項目が見開き2頁、右側は新聞の段組のようになった説明の文章、左側はイラストなどの図で示された思索の構造の地図めいたもの。
 いわゆる思想というものが、イラストで図示されるようになったのは、それほど昔のことではない。この手の入門書は多く、単純な図やイラストで、感覚にも訴えるかのように、よく作成されている。
 だが、果たして思想とはそのようなものであろうか、という疑問は当然生じる。
 インドや中国の哲学思想を大きく取り上げ、見開きで1項目の原則を貫く。素人のためにはひじょうに読みやすい状況になっている。
 そして日本。ことさらにスクープ的な紹介があるのかどうかはよく分からなかったが、ひととおり思想の概略は、ひじょうによくまとめられていると思った。
 これが、たんに西洋思想を棄てて東洋へ向かえ、とだけあったとしたら、あまり魅力を感じなかったかもしれない。多分に、説明はフェアである。
 私たちは、こうした日本の思想風土に根付いている。しかし、その思想風土というものが、これまで明確にされてきたかどうかは甚だ疑問である。芥川が口にしたように、得体の知れぬ被う思考の方法が、日本の上空にある。しかも、地上に近く降りてきている。




Takapan
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