本

『とうがらしマニアックス』

ホンとの本

『とうがらしマニアックス』
とうがらしマニアックス編集部
山と渓谷社
\1470
2009.8

 唐辛子は好きである。止められない。そういう人は世にたくさんいるらしい。これは、そういう唐辛子好きにはたまらない、マニア本である。いや、こだわりの一冊である。
 そもそも唐辛子とは何か。どんな種類、どんな製品があるか。もちろん、ピーマンも含まれている。伏見とうがらしまで載っている。綺麗な写真だ。
 七味唐辛子からチリソース、ハラペーニョソース、コチュジャンの作り方もある。それを活かしたレシピもある。
 唐辛子の歴史から対処法まで、好きな者にはたまらないコーナーが最後まで続く。
 正方形に近い小さな版であるから、値段は高く感じられるのであるが、どうしてどうして、その中身は濃い。いや、辛いとでも言おうか。
 販売されている商品は、現在のものであるから、そのうち旧く感じられるようになるかもしれない。だが、ずっと書店に常備しておいてほしいような本である。これに触れた人が、唐辛子仲間に入っていくというのを愉しみにしていられるからだ。そうなんだ、と唐辛子の魅力に心を奪われ、生活の中で実践していく人が増えたらいいなと思うからだ。
 唐辛子の色は、赤と緑。まるでクリスマスカラーだ。だから私は好きなのか? そんなことはない。たんなる塩辛いものとも違う。確かに、塩気は大切だ。殺菌や保存のために塩は役に立つ。地の塩であるとイエスが弟子に語った言葉は、私たちに向けても語られている。唐辛子は、からしだねというところで近づくものだろうか。あるいは、様々な交易の中で香辛料があったかと思う。これは体を内部から温める。聖霊の宿りにも似た感覚、というのは言い過ぎだろうか。
 サブタイトルは「とうがらし好きのためのとうがらし本」。これに尽きる。楽しい本である。辛いのが苦手な方も、どうぞ。




Takapan
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