本

『ザ・日本のメダカ』

ホンとの本

『ザ・日本のメダカ』
小林道信
誠文堂新光社
\2415
2008.6

 カラー写真で美しい。紙質もよい。
 メダカの飼育をモットーとしている本であるが、ただ眺めているだけでも楽しく、図鑑としても十分楽しめる。
 水槽写真家というのだそうである。世界的にも、熱帯魚専門のこうした写真家は少ないのだそうである。著者の腕は冴えわたる。一枚一枚のメダカの写真に、なんと表情があることか。なにか台詞の一つでも考えてやりたいような顔をしている。
 よく知られているように、メダカは環境庁のいわゆるレッドリストに挙げられ、絶滅危惧種に指定されている。これは、種そのものが危惧されているというよりも、住環境が激減しているという点に負うようでもある。だから、メダカそのものは、近年飼育する人が増えているというのである。
 この本には、そのようなマスコミ好みの描き方で、メダカが紹介されているわけではない。そんな指定など関係なしに、とにかくメダカを愛する人が、メダカを飼育するにはどういうことを知っていればよいのか、に焦点を当てて、印象的な写真の数々と共に、ずいぶんな量の原稿が説き明かしている。
 メダカの種の説明だけでもずいぶん詳しく記されていて驚くのだが、飼育のノウハウと共に、FAQも、これほどまでのものは見たことがないと思われるほどに詳述されている。なんとQ100まであるのだ。その他、飼育の道具から採集法、水草の様々な種類の説明に至るまで、美しい写真と共に、これでもかというほどに載っている。
 メダカを愛している著者がはっきりと伝わってくる。
 もしもメダカを飼おうかと考えている人には、これに勝る飼育書もないであろう。




Takapan
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