本

『10代の子のために、親ができる大切なこと』

ホンとの本

『10代の子のために、親ができる大切なこと』
アンソニー・ウルフ
古草秀子訳
PHP研究所
\1470
2004.11

 ターゲットが10代に絞られる。アメリカ人の著者だからteenagerということだろう。
 とかく、「中学生には……」「高校生には……」と私たちは区切りがちである。それで効果的なのは、その学齢特有の、たとえば受験とか部活とかの問題に関する相談である。だが、そもそも成人前の子どもたちは、どんなふうに物事を捉えているのか、どんな世界を見ているのか、ということになると、その本質は案外語られていないように思う。
 臨床心理学者として、著者は、様々な実例を基にして、このとき子どもたちはどのように言っているのか、聞こえているのか、を明らかにしてくれる。
 とかく海外の習慣に基づいているとなると、日本人には取っつきにくいところがあるのは、否むことができない。だが、アメリカでも、親が子どもを甘やかす様子は似たものがあるし、実例を見る限り、ことさらに異国的に過ぎると思われることはなかった。
 たんなる理想に入るものでもなく、しかも現実に合わせるでもなく、極めて現実的な対応が全般的に流れているように感じた。漠然とした紹介だが、こうしたケースワーカーの好きな方は、ご自分で叙述に触れるのが一番だろう。
 案外、その時期の自分の気持ちというものに、再び出会うことができるかもしれない。




Takapan
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