本

『はるかな国からやってきた』

ホンとの本

『はるかな国からやってきた』
谷川俊太郎
童話屋
\1312
2003.2

 谷川俊太郎の詩を集めると、たいそう分厚い書物になる。仕事の一部を集めた本だけで、百科事典のようだった。
 沢山知りたいファンには、それでいい。ただ、代表的なもの、変な表現だが「いいとこ」をとりあえず知りたいと願う人には、大変だ。コンパクトな代表詩を集めた本がないものだろうか、という気がする。
 そもそもが谷川俊太郎のファンである、童話屋の田中和雄という人が、好みの詩を集めて作った本である。共感を覚える人なら、その編集にたまらない魅力を感じることだろう。
 テーマとしては、「いのち」。もちろん、谷川俊太郎自身、それを軸として言葉をあざなっているようなところがある、とも考えられる。
「人の命をくり返すことはできない」と、近頃、少年事件に関して、新聞で取り上げてから、私ははっとしてこの詩人の本を探した。この本にも、載せられている。新聞で引用されていたのは、最後の4行を欠いたものだった。いやはや、この最後が付加されることによって、また違う余韻が与えられるではないか。
 この詩に限らず、なんとも言葉では言えない感動を、この小さな詩集は与えてくれる。ポケットに入れておきたい本である。大きさも、文庫本大で、しかもハードカバーなのだ。少ない文字数の中に、無限の世界が広がっていく。宇宙をイメージした表紙も、たぶんそのことを伝えようとしているのではないかと思う。
 本当に、詩は、いい。




Takapan
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