本

『食育なんでもQ&A セレクト41』

ホンとの本

『食育なんでもQ&A セレクト41』
グループこんぺいと編著
黎明書房
\1680
2005.1

 実はこれとはペアで、「食育あそびBEST34&メニュー」という本が作られている。様々な食材をイラストで紹介すると共に、食べ物が子どもたちにどういう関わりをもつ可能性があるか、遊びのようにしても紹介されてゆく。
 食べたもので私たちの体が形成され、できている以上、あまり食べないとか、好き嫌いが多いとかの子どもは、不安な面が伴う。
 そんな素朴な疑問も含めて、多くの相談が寄せられた中でまとめあげていったのが、この本である。
 基本的に、保育園での応対がベースになっている。預ける親のわがままの数々も披露される。保育園の職員は大変だ。
 たしかに、分かってはいても、なかなか実行できないことはある。しかし、分かっていないと目標にもできないし、路線修正もできない。私たちの意識を健全にする上で、こんな本が役立つというのは、ある意味では少し悲しい。なぜなら、こんなことは当たり前ではないか、という気が、読んでいて沸き起こるからである。
 そうしたことが、実に具体的に、イラストと共に紹介されていくので、きわめて分かりやすい。薄い本の割には高価な印象があるが、内容は豊富である。
 インスタントに任せきりの生活への反省も覚える。また逆に、ナーバスになって何でも手作りにしなければ云々という強迫観念からも解放されるだろう。というのは、そのどちらにも、色濃く商業主義が顔を出してくるのだが、この本には、そうしたものが少しも感じられないからである。
 ごく自然に、当たり前に、食べるものと触れあうことは、まさに私たちの生きることそのもの。「生きる力」というかけ声が、政治的スローガンのように掲げられはするが、その本当のところは、このような食生活の素朴なところから始まっていることを、改めて確認させられるような思いである。




Takapan
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