本

『だれにもわかる食育のテーマ50』

ホンとの本

『だれにもわかる食育のテーマ50』
服部津貴子
学事出版
\1575
2005.8

 知育・徳育・体育に加えて、食育というものを並べて置くように、と提案している。それは、学校教育の場への、政府からの提案の一つでもある。
 食べさえすれば――さらに言えば、栄養分が体に入りさえすれば――、人は生きることができる。それは、機能的な人間観、もっと言えば機械的な人間観でもあるだろうし、分析したものは必ず総合に戻るという世界観の現れであったかもしれない。
 だがそのことは、季節はずれでも野菜を食べれば十分と思いなしていたし、サプリメント信仰を呼んでいたし、孤独な食事の与える影響を懸念することをせずに子どもに餌を与え続けていた。
 大人たちは、猛反省しなければならない。その大人たち自身が、食に対して、無知すぎるのも事実だろう。
 この本は、ふりがなこそないが、小学校上級生から読めるような内容に仕上げてある。見開き2頁の中に、Q&Aで応答がなされており、食に関する的確な知識が得られるように工夫されている。
 小中学生の総合学習にも、相応しい編集である。と同時に、これは大人たちも、味わっていい。却って妙な政治的かけひきなどがない分、食についての理解や反省を、純粋に感じることができるかもしれない。
 体の構造から、栄養素のはたらき、ダイエットの危険に政治的な働きかけ、調理の仕方やマナー、添加物に至るまで、ありとあらゆる食に関する話題が提供されている。
 理屈では分かっていてもなかなか……などと言い訳する暇があったら、大人たちこそ、この本から学んだことを、実行に移してみるがいい。人生が変わるかもしれない。国の未来が変わるかもしれない。




Takapan
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