本

『少年マガジンの黄金時代』

ホンとの本

『少年マガジンの黄金時代』
週刊少年マガジン編集部編
講談社
\1200
2008.9

 少年マガジンの編集者、大伴昌司の編集による作品を紹介する本である。少しの前書きと後書きを除いては、すべてがかつての少年マガジンの記事を掲載しただけの本である。
 しかし、それが凄い。漫画のほかの記事がそっくりそのまま、小さく印刷されているわけであるから、すべてを読むには少しばかり字が小さくなってしまっているが、趣は十分楽しめる。
 とにかく、マンガに関係しているとは限らず、ありとあらゆる世界から、雑学を拾ってくる。あるいは、子どもを楽しませるような内容の話題を集めてくる。もちろんマガジン連載のキャラを、たとえば星飛雄馬や星一徹を用いて相談室を開設したり、力石徹の葬儀のようすをレポートしたりと、かつての少年たちは涙を流さんばかりに喜んでいるのではないかと思う。ウルトラ怪獣や戦闘機の秘密も解説され、かつての少年たちにはたまらない雑誌であったということが分かる。
 雑誌の類は、資料として残っていないことが多い。そういう中で、この貴重な資料により、かつての少年たちの心の中が明らかにされていくように見える。時折こうした本が出版されるが、十分な資料性をもつものは、その本そのものをよい資料として、図書館に活用するようにするとよいだろう。その意味でも、このマガジンのレポートは、大切な資料として認識されてよいのではないかと思う。
 その時代にあったもの、なかったものが明らかにされると、私たちが何を受け継ぎ、あるいは何を見失ったか、が分かってくるかもしれないのである。




Takapan
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