本

『子どもと楽しむ自然観察ガイド&スキル』

ホンとの本

『子どもと楽しむ自然観察ガイド&スキル』
芸術教育研究所企画
藤本和典
黎明書房
\2310
2004.8

 子どもに何かを伝えなければならない。無意識の中に潜む思いが、危機感とともに親を行動へ誘う。それどころか、親自身が、虫の名も花の名も知らずに一生を終わっていこうとしていることに、言いようのない悲しさを覚えているのかもしれない。
 親子でアウトドアをするというのは、実は親自身もまた、自然を学んでいることであって、親が子どもに教えているというふうには見られないことが多い。親のためのマニュアルが多々制作されている。
 ここにある、大型だが薄手の本は、学術的でもなくひどく子どもっぽくもなく、程よく大人心をくすぐるものとしてできている。しかもたいそう的確で、必要な知識が網羅されている。季節の動植物のガイドマップから、それがどこに見られるかという風景図、白黒だが魅力的な写真を満載した、詳しい解説の頁。育てるための道具の設置の仕方などの知識のイラストや花の咲く季節の表など、ふんだんに本は知識でわきかえっている。
 飼うために気をつけることはもちろんのこと、安全の上で、たとえばカタツムリを触った後の注意などが正しく記されている。自然に対する素朴な疑問の数々にも答えてあるが、どれも興味をそそる質問である。
 実は子どもたちは、それなりに自然と戯れている。そうでなければ子どもはやっていけない。草や生き物には、親の目の届かないところで触れていることが、案外多い。むしろ親のほうが学ばなければならない。そのために非常に内容豊かな本であると思う。
 初め、値段は高いと思った。だが、読んでいくうちに、これは親子で真剣に自然と触れあう心地よい体験をしたいと願う人にとっては、かなり安いものであるという気がしてきた。
 どこか雑多でありながら、実に沢山の知識を提供してくれるブックレットである。実に魅力ある編集であると感じた。お薦めです。




Takapan
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