本

『心に届くしつけと愛の伝え方』

ホンとの本

『心に届くしつけと愛の伝え方』
ほんの木編
ほんの木
\1575
2006.2

 2002年から2005年までに刊行した「子どもたちの幸せな未来」シリーズ18冊の中から、子どもとのコミュニケーション、躾や愛情の伝え方といった方面に沿ったものを集めた本。
 いわばばらばらに執筆されたものであるから、本としてのまとまりを求めすぎないようにしなければならない。そして、どこからでも読み始めてよいはずではある。が、初めから順に読んで見ることをお薦めする。ある程度章立てしてあることと、具体的な領域から、しだいに大きな観点へと展開していく流れに乗っていくことができるからである。
 全体的に、文章も優しく、好感をもって読み進むことができる。親としての経験を多少している者からみても、肯けることが多い。というより、私が親の初心者だったころに、こんな本があったらよかっただろう、と羨ましい気持ちがした。
 やや理想に走りすぎかもしれない、と感じる部分はあるが、理想を掲げることなくしては、現実の方策もないという基本は理解しているつもりだ。理想は大いにもつべきだ。それでいて、思惑通りに運ばない子育てをもまた、一つのあり方として受け容れていく姿勢が大切であろう。この本の教えのようにいかないから自分はだめなのだ、というふうに考えてはいけないのである。自分を受け容れることのできる者だけが、他人をも受け容れることができる。これは金言である。
 この本には、一目見て分かる、とんでもない特徴がある。随所に「傍線」が引かれていることである。つまり、極端な話、傍線部だけを拾い読みしても、要点が掴めるのである。これは、ありそうで案外見られない方法である。最近、ところどころゴシック体にするとか、ポイントを大きくした活字で目立たせるようにした本がちらほらある。たぶん、ネットのサイトを意識したような方法なのだろうと思う。だが、シンプルな傍線というのは、もっとあってもいいように思われる。
 もちろん、それに頼りすぎるのはよくない。そして、この本の一部で提言されていることから類推できるように、知的に考えながら取り組むことが重要なのであって、傍線で導かれていくことは安易である、という意見もあるだろう。
 だが、私はいいと思う。ルビももっと振ったらいいと思うし、ルビを振る必要があるほどに、難しい漢字も並べていいと思う。そして、読者が本から大切なことを得やすいように、筆者の伝えたいことができるだけうまく伝わるように、傍線があってもいいと思う。




Takapan
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