本

『しんぶんしであそんじゃおう!』

ホンとの本

『しんぶんしであそんじゃおう!』
いまいみさ
毎日新聞社
\1365
2011.1.

 子どもの遊びのための本も数多くなった。
 子どもが読んでもオーケーなのだが、どうも大人が喜んで買っていきそうだ。確かに、子どもがどんどん帰るような値段ではない。たとえ子どもが欲しがったとしても、書店で大人が検分し、買うに価するかどうか判断してからレジへもっていくことになるだろう。となると、大人から見て魅力的でなければならない。
 いや、子どもがこれを書店で見て買いたいと思うかどうか、そこからまず疑問である。ゲームといえばもはやコンピュータものしか考えつかない子どもたちである。商業主義のテレビ番組のキャラクターもののオモチャが、数千円で売られており、また面白いマンガのキャラクターは大人も喜んで買い集めるようなところがあり、子どもが買うにはやはり高価なものが多い。それでもキャラクターショップで買いあさる子どもたちは、どだいリッチなのだろうか。
 ぼやいても仕方がない。新聞紙でオモチャが作れるなら、こんなに安価なことはない。殆ど廃物利用である。おまけに、数千円のオモチャでも、数回遊べばもう見向きもしないでがらくた行きとなるのなら、新聞紙で作ったものを同じく数回遊び、破れたから捨てたからと言っても、全く損をしたような気持ちにはならないことだろう。オモチャにしても、ひとつの人形をどこへでも後生大事に連れて行くような子どもたちの姿は、今はもう影も形もないと言ってよいだろう。
 とにかく、新聞紙はお得である。しかしながら、どうせちゃちなものだろう、と思いつつこの本を覗くと、これが決してそんなことはない。写真も入り、また作り方、折り方などもかなり親切に記されており、私がこの手のものを好んで見る中でも、出色の出来だと思うのだ。
 待てよ。グリコのオモチャがいまだに人気があるのも、子どもが必ずしもコンピュータゲームや高価なオモチャに満足していないことを意味するのではないかしら。以前テレビ番組で、グリコのオモチャを大量に部屋に用意したら子どもたちがえらく喜び、そしてどれか一つを持ち帰ってよいということにすると、人気のオモチャがはっきり現れてきた、という様子を見た。木の感触もやはりなかなかよいものだ。
 そこへいくと、この新聞紙というもの、実はかなり温かい。寒いときには新聞紙を着ることで防寒効果があると言われるが、手に触るだけでも、何かしら温かみを感じるものである。私も教会学校で体験済みなのだが、新聞紙のオモチャは子どもに概して好評である。そして、指先の器用さや単なる反射神経だけではなく、体全体を使って遊ぶ遊び方が多く、全身のバランスや、適度な競争とゲーム性がそこに加わり、本当に楽しそうに見えてならない。
 それと、もう一つこの本の強みは、女性の著者である。男だったらこうは考えない、気づかない、という点がある。それは、どの新聞紙のオモチャにも、色紙などで必ず色の飾りをつけることである。遊びだけを考えたら、この飾りは無用である。手間も費用もかかるし、帰納的には無駄だと言ってよい。だが、これがあれば、いくらかでも大切にするかもしれないし、作った思い入れというものも現れることだろう。何よりも、女の子にとりこのおしゃれ感覚は外せないポイントであるはずである。
 これはまた、教会学校で必要な一冊になるかもしれない。図書館から借りるばかりでやっていけるだろうか、ちょっと不安である。




Takapan
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