本

『もっとじょうずにしかり方』

ホンとの本

『もっとじょうずにしかり方』
プチタンファン企画室
主婦の友社
\1050
2005.4

 育児雑誌の編集は、分かりやすいものが多い。分かり易すぎて、本当にそれでいいのか、と気味が悪いときもある。
 この本も、「1〜4才 発達に合わせて」などと題されており、巻末近くに年齢別に特徴や留意点などがまとめられているのは、実に笑えるし、よく分かる。それが巻頭では、いきなりコミックとして育児の悩みが挙げられており、もしや全編こんなマンガなのか、と疑う気持ちを起こすかもしれないし、他方、分かりやすいわ、と熱烈な支持を受けるかもしれない。
 全般的に、読者からのさまざまな疑問に答えるQ&A形式になっており、その意味での分かりやすさというものがある。イラストも十分マンガ調で、理解を助けている。
 子どもを一人の人間、つまり自分とは違う他人として捉えたときには、当然とも言える対処法が、つい日常の中では、自分の子どもだから、という意識や理屈が勝って、理不尽なしかり方になりがちである。
 子どもは、叱らなければならない。しかし、叱ってはいけない場合もあれば、叱り方次第というケースもある。そういうのを、親として覚えていくのが普通だと私は思っている。つまり、親もまた、失敗をしながら、自らを耐えず省みて、成長していくものだ、と考えている。
 だが、こんな素晴らしいマニュアルが次々と出版されていくと、老婆心かもしれないが、危惧を覚えてしまう。何か、最初から間違いたくないがための教科書のようだが、それでいいのだろうか、と。
 親が何も変わることがなく、ただ方法こそが問題であって、満点の子育てがあるテクニックの許で可能である、という気持ちに包まれている人がいるとすれば、残念である。
 何も、自分が優れているなどというつもりはない。ただ、この本を見ると、育ててきた私には、書いてあることがよく理解できるし、さも当然ではないか、と思う。心理学の先生方の知恵を集めて作られた本であるから、この本が優れているのだ。そして、私はこういった失敗をすべて経てきたからこそ、説明されていることが分かるのだ、と思っている。
 何も、私が間違った育児をしていないから、ではなく、その反対なのである。でも、私はそれで良かったと思っている。私が、だんだんと親になっていった証しであると思っている。
 子育てをなさってきた方々は、私の言わんとしているところのどこかに共感してくださるのではないか、とも思う。




Takapan
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