本

『戦争の甘い誘惑』

ホンとの本

『戦争の甘い誘惑』
クリス・ヘッジズ著
中谷和男訳
河出書房新社
\1,500
2003.3.

「パレスチナの大人達はなぜ自爆テロをし子ども達は石を投げるのか、イスラエルはなぜ傀儡アラファトの執務室を武力封鎖するのか。その理由を問い詰めることもせず、パレスチナの権利を譲るとして、非武装のバリケード「人間の壁」を築くのはエセ・ヒューマニズムである。それを思い入れたっぷりに紹介するニュースキャスターは、ジャーナリストのはずなのに、エセ・ヒューマニズムに汚染されている。彼らのために本書はある。」
 訳者があとがきで記した言葉が、この本を象徴する。
 さらに訳者は、その解決をこうまとめる。
 では我々に問われている良心とはなにか。著者ヘッジズは「愛」だという。
「愛によってだけ我々は、生命を受け入れ慈しむことができる。我々が抵抗しなければならないものに抵抗し、受け入れるべきものを受け入れる力を、愛こそが与えてくれるのである。」
 従軍記者として著者は、「ホテル特派員」という傍観的な知ったかぶりを否み、戦争の生々しい醜さを現場からこの本でさらけ出している。通常の報道の中の戦争が、いかに濾過された上澄みでしかないか、こうした本から知るといい。そして精一杯の想像力を、ここから自らに課すとよいと思う。




Takapan
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