本

『さわるな、危険! 家庭のバイ菌学』

ホンとの本

『さわるな、危険! 家庭のバイ菌学』
Dr.ジャック・ブラウン
栗原百代訳
新潮社
\1,300
2004.2

 
 あまりに正しいということは、逆に知れば知るほど悲しくなることがある。
 テレビ画面が14型から25型に変わったとき、女優さんの顔の皺が見えるようになって、がっかりしたことがある。
 知らないでよいことまで知ってしまうと、知らないでいたほうが幸せだった、と思うようなものである。
 生活の中に細菌がうようよしていることは、もちろん分かっているつもりだった。だが、この本ではそれが赤裸々に述べられ、現実というものを突きつけられる。
 台所のスポンジには70億を超える菌がいるとか、洗濯機に大腸菌がいる割合が20%だとか聞くと、どうしようという気になってしまう。レストランや保育所はバイ菌の宝庫であるし、そもそも病原菌が一番多いところが病院であるという。いや、これは医療従事者のいる我が家では常識であった。病院に行くと病気になる。これが常識なのだ。だから病気ではない兄弟をむやみにつき合わせて病院に連れて行くべきではない。いらぬ病気をもらって帰ってくることになるからだ。とにかく病気の人が集まる場所が病院である。そこへ飛び込むのは、わざわざ病気をもらいに行くことなのである。
 もとより人間は、たいていはそれらのバイ菌を耐えることができるようにできているのだが、たしかに年齢や病気で弱ったところへこのバイ菌が襲ってくると、致命的なこととなるというのも本当である。
 一流ホテルでさえ、部屋が正しく掃除されているとは限らない、と著者は言う。見た目の美しさとバイ菌からみる清潔さとは同一と考えてはならないというのである。私たちは、自分の家の中への反省もするべきだが、外部の施設などについても、お人好しの信用をすることは危険だということを教えられる。
 かといって、あまりにも気にしすぎてノイローゼになりそうなのもどうかと思う。おおらかに、しかし要所を締めたバイ菌理解をする必要は、さらに感じるものである。




Takapan
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