本

『10代からのセイファーセックス入門』

ホンとの本

『10代からのセイファーセックス入門』
堀口貞夫・他著
緑風出版
\1785
2005.7

 著者は他に、堀口雅子・伊藤悟・簗瀬竜太・大江千束・小川葉子といった名前が並ぶ。
「子も親もこれだけは知っておこう」というサブタイトルからしても、真面目な取り組みであることは当然であるが、教育的な視点が大いに取り入れられていることが予想された。
 はたして、これはまことに秩序だった解説書となっており、一から丁寧に解き明かそうという姿勢が貫かれていた。特徴的には、Q&A方式で進められており、分かりやすさを示しているけれども、そのために必要なポイントがぼやけるようなことは感じられなかった。
 内容は、必ずしも時代の最先端を走っているようには思えなかった。二十年前と、さして変わらない説明であったかもしれない。もちろん、そこにはHIVという、いわば新たな視点が含まれており、だからこそ、安全な性が中心に考えられていくことになったといえるだろう。また、同性愛に対する捉え方も、一定の認められ方をした上で、独立した章が設けられているのも、特徴的であろう。
 そのような意味では、女性や同性愛者の人権などへの関わりを持つグループによる、性教育への提言だという見方もできるであろうか。ジェンダーフリーを圧迫してくる東京都の動きにも異を唱えている場面が見られた。そうだと同調する人もあるであろう中で、政治的に、抵抗を覚える読者があるかもしれない。
 政治的には、靖国がどうとか歴史教科書がどうとかいうことばかりが取り上げられてそれがすべてであるかのように見られることがあるが、事実、家庭や家族の認識と男女の立場などを教える「家庭科」こそ、重視されている科目である。この本は、その点で、右傾化への抵抗として生み出されたものなのかもしれない。
 親や教師には、向いている内容だろう。だが果たして、当の若者は、読んでくれるだろうか。私は、こういうのを読むタイプだった。噂や、責任のない軽薄な考えのために、自分の大切なものを左右されたくないと思ったからだ。慎重になりすぎた面もあれば、それを飛び越える若さというものもあった。
 政治的云々はともかくとして、幾らかでもオーソドックスな知識を、若者は得られなければならないと思うし、得ようと探して出会ってほしいと願う。自分とパートナーのことについてさえ、「考える」ことをしなくなった人間は、もうどこへ行くかまるっきり分からなくなるに違いないからだ。




Takapan
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