本

『歴史和解の旅』

ホンとの本

『歴史和解の旅』
船橋洋一
朝日新聞社
\1470
2004.7

 図書館から借りている間に、ついに読むことができなかった。そんな本を書評に載せるというのは、どだい失礼で無責任なことである。
 だがこの本のサブタイトルにある「対立の過去から共生の未来へ」という言葉には惹かれるものを覚えた。
 あの訴訟社会であるアメリカでさえ、謝罪の効果は理解されつつある。最も謝罪から遠い国、中国においても、謝罪した例がある。そういった冒頭から始まり、ユダヤを筆頭に、世界各地における、和解の動きがレポートされていく。それは、著者が各方面で著した本から採録するという形でなされていく。これまでの仕事の中からテーマ毎にまとめられてできた、すぐれた構成になっている。しかも、それぞれが生々しい報告と心からの論説である。
 あとがきの中の一段落を引用させて戴くことで、著者のスタンスや誠意が伝わればと思う。
《心を開いて過去に直面し、それを克服するために、それぞれのできるところから取り組むことである。そうしてこそ、日本をもう一度誇りを持って見つめ直すことも出来る。それは国を愛することにもつながるだろう。国を愛することは、日本と日本の過去を美化することではない。》




Takapan
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