『インスタントラーメン図鑑 (第6版)』
一般社団法人日本即席食品工業協会編
2025.3.
発行年は、この「第6版」の発行である。初版は、2020年である。以降、毎年3月に、次の版が発行されている。
子どもが手に取りたくなるようなイラストと表紙があって、厚手の用紙にカラーでイラストや写真が豊富に載せられている。文字も比較的大きく、言葉遣いも易しい。ただ、想定しては、大人を考えているのだろうと思う。というのは、用語そのものは正式のものが使われており、漢字にふりがなを振っている様子も見られないからだ。
とはいえ、中身は必要最低限に詳しいし、ラーメンの魅力や効能などを、簡潔によく伝えていると感心する。もちろん即席食品工業協会などというから、ラーメンのよいところをアピールするのが目的であって、もっと食べてほしい、楽しく接してほしい、という願いと共に作られていることは間違いない。
1958年に初登場した「チキンラーメン」。NHKの連続テレビドラマ、いわゆる朝ドラで、その開発の話が描かれた。「まんぷく」、印象的なドラマであった。本書はその苦労を軽く漫画で4頁だけ触れてあったが、文面でも2頁分説明が施されていた。そして多くの頁では、いま私たちの目の前にあるインスタントラーメンがどのようであるのか、そしてそのメリットを最大限にアピールする。
まずは防災食としての機能。また、そこに「栄養」という観点を入れ、一部で囁かれている、健康によくないという思い込みを、冷静に打破しようとしてゆく。
そうして、インスタントラーメンについての知識を根本的なところから説き明かしてゆく。一つひとつが興味深い。もちろん、どのような製品でも、それが表に出てゆくためには陰に無数の苦労や知恵が隠されているものだが、ラーメンの製造にも、それはたっぷりと盛り込まれている。単に興味本位でもよいから、覗いてみると、奥深いものを知ることになるだろう。
様々な数字は、現時点での統計的なものではあるが、いまやカップ麺の方が、袋麺の2倍食べられているということは、袋麺が基本の私には驚くべきものだった。そのカップ麺の消費を支出面から割り出すと、多い方から青森市・仙台市・大阪市の順であり、袋麺は、鳥取市・高知市・熊本市であることなど、その理由は分からないが、興味深く拝見した。
インスタントラーメンの歴史や変化と流行にも触れると、麺類一般の文化的な説明もあり、世界各地の麺類も紹介される。とくにアジアに拡がる多様な麺文化は、まだあまり知られていないものがあり、今後どこかの企業が売り出すかもしれない、と楽しみに思えた。
それと同時に、全体的にだが、日本で生まれたこのラーメンが、世界に行き届いている様子が強調されているように感じたのは、私だけだろうか。たくさん輸出され、また宇宙食にも採用され、しかもそのとき無重力状態で食するために、スープにとろみがつけられている、というようなくすぐったい情報も加えられている。
そして最後にもう一度、栄養面や安全面についても丁寧に語り、さらにはSDGsにも貢献している点をアピールする辺り、制作する協会の懸命な思いが伝わってくるような気がした。
なお、本書は制作だけでなく本としての製作にもずいぶんコストがかかっているだろうと思われるが、価格設定がなされていない。無料で出されているようだ。国立国会図書館にもあるが、そこには「非売品」と記されていた。そしてこれの初版だろうか、インターネットの中で、pdf版として公開されていた。
企業組合としての努力を感じる。では、私もこの後、インスタントラーメンを戴くことにしようか。

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