『ピアノの世界』
那須田務監修
学習研究社
\2100
2007.12
タイトルには「ビジュアルで楽しむ」と付いている。
これは驚きであった。ピアノについて知りたい、ピアノにちょっと疑問がある、そういう人のために、恰好の本である。
大作曲家がピアノのためにどんな曲をかいたか、に始まる。そのとき、その作曲家のことについてもひととおり分かる仕組みになっている。それらは、豊富な図版により支えられ、読むというよりは、見るという行為によって、読者に取り入れられていく。
いやはや、ピアノの特長はもちろんのこと、ピアノの歴史、ピアノのデザインやその逸材にまで、ピアノのフリークとして通用しそうなほどに、ピアノについてのエトセトラを連ねてくる。
私はピアノが弾けないが、弾ける人から見れば、もうわくわく興奮しどおしの内容であるのだろう。
時代によるピアノの扱いの変遷や、そもそもの音のなる仕組み、弦の張り方など、ただの蘊蓄狙いの人にとっても、楽しめる本であろう。
ピアノって、こうだったんだ。
そんな喜びの声をあげることが決定的な本であるといえる。実に楽しい。